アシックス(ASICS)は5月29日に創業者・鬼塚喜八郎(2007年に逝去)の誕生100周年イベントのオープニングセレモニーを行い、新型の陸上スプリントシューズを発表した。尾山基・会長兼最高経営責任者(CEO)が「アシックスの終わりなきテクノロジーとイノベーションの追求に基づき、20年の東京オリンピック・パラリンピックという世界最高峰の舞台をサポートする」とあいさつすると、壇上に新型スプリントシューズのプロトタイプが登場。同社と契約する陸上男子100mの日本記録保持者、桐生祥秀・選手らが登壇し、新型シューズを手に取りトークセッションを行った。
新型のスプリントシューズは金属のスパイクピンを備えた従来型と大きく異なり、靴底のピンを外し、ハチの巣状の立体構造を取り入れている。通常のスパイクシューズはピンを地面に貫入させ高いグリップ力を得ることで、推進力を引き出しスピードにつなげるが、ピンをなくし、接地面を増やすことにより、効率的に推進力を得るようにした。さらにピンがない分、軽さを追求できたという。
桐生選手は「このシューズを例えるならアシックスの秘密兵器。これまでの常識を覆すシューズでとても面白いと思う。履いて走ってみたい」と期待を見せた。開発に携わったアシックスの西脇剛史・取締役は「スポーツを楽しもうという人、全てがアスリートだと思っている。その全ての人の希望になれるように桐生選手を支えていきたい」と話した。
本イベントには桐生選手の他にも有森裕子、君原健二、高橋尚子、室伏広治、山本篤ら新旧のオリンピックメダリストが登壇した。鬼塚と生前親交のあった有森と高橋は鬼塚の印象について聞かれ、「笑顔が素敵だった。(NPO団体として活動する)カンボジアではカメラを片手に積極的に写真を撮っていた。とてもフットワークが軽かった」(有森)、「パッと太陽のように明るい人。モノ作りにはとても繊細で、常に最高の一足で走ることができた」(高橋)と答えた。東京オリパラでスポーツディレクターを務める室伏は「アシックスのスポーツイノベーションに非常に期待している。スポーツメーカーとして、世界をリードし続けてもらいたい」と話した。