米「WWD」が行った「ファッション業界で一番働きたい企業はどこか」という調査でNo.1に輝いたのは、ダントツでシャネルだった。調査は2月後半〜3月前半にかけて行われ、「WWD」のSNSと、アメリカとヨーロッパのメジャーなファッション&マーチャン ダイジング・スクールの学生に直接メールを送るという二つの方法で、それぞれ統計を取った。前者には2000人、後者には405人から回答が寄せられ、200以上の企業やブランドの名が挙がった。調査の結果、分かったのは、働きたい企業を選ぶにあたり、条件面や成長の可能性などからシビアに考えていると同時に、「憧れ」や「尊敬」といった感情も重視しているということだ。例えば、ある回答者は、「シャネルは私にとって憧れの企業。なぜなら、私はフェミニストで、創業者のガブリエル・シャネルもそうだったから」と答えた。結局のところ、就職すれば職場で過ごす時間は家族との時間よりも長い。ファッション・マーチャンダイジングを学ぶある学生が答えたように、「仕事場や給料も重要だけど、一番大切なのは自分の仕事を愛せるかどうか」だろう。
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シャネル
「シャネル」2016-17年秋冬コレクション Photo by GIovanni Giannoni/WWD
従業員数:推定1万5000人
売上高:約90億ドル（約9720億円）
シャネルがNo.1に輝いたのは、世界屈指のラグジュアリー企業であるということに加え、カール・ラガーフェルドという稀代のカリスマと共に（たとえ実際接することはなくとも）仕事ができるという魅力がある。元従業員によると、同社のポリシーは、トレーニングやコーチングを活用して従業員に常に“前向きなプレッシャー”を与えること。さらに、ラガーフェルドのクリエイティブパワーが社内に行きわたり、職場は“実に魅惑的”な環境だという。
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LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン
「ルイ・ヴィトン」2016-17年秋冬コレクション Photo by Giovanni Giannoni/WWD
従業員数:12万5346人
売上高:356億6000万ユーロ（約4兆3505億2000万円）
世界最大のラグジュアリー・グループであるLVMHモエ ヘネシー・ルイヴィトン（以下、LVMH）は、最高の雇用主という評価も勝ち得ている。フランスのビジネススクールの学生を対象にしたユニバーサムによる調査では、10年連続でLVMHが将来就職したい企業の第1位になっている。同社の人材育成プログラムには、シニア・エグゼクティブのための戦略的講習プラットホーム「LVMHハウス」、世界各地のマネジャーのためのトレーニングプログラム「リージョナル・エグゼクティブ・ディベロップメント」などがある。
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クリスチャン ディオール クチュール
「クリスチャン ディオール」2016年春夏オートクチュール・コレクション Photo by Giovanni Giannoni/WWD
従業員数:5281人
売上高:18億7000万ユーロ（約2281億4000万円）
同社は才能ある従業員を引きつけ、そのモチベーションを高めるために、競争性をもたせた給与体系を組んでいる。2015年6月期年次報告書によると、従業員の52%以上が1ヵ月当たり3000ユーロ（約36万6000円）以上の給与を得ている。また、同報告書によると、フルタイムの従業員1人当たりの平均教育訓練投資額は886ユロ（約10万8000円）だという。15年度は従業員の59.1%がトレーニングを受け、1人当たりの平均トレーニング受講日数は2.3日だった。
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アレキサンダー ワン
「アレキサンダー ワン」2016-17年秋冬コレクション Photo by Giovanni Giannoni/WWD
従業員数:世界で約270人
売上高:推定1億5000万ドル（約162億円）以上
創業して11年の同社だが、成長著しいグローバル企業だ。従業員に手厚い福利厚生を提供しており、医療や歯科、さらに確定拠出年金制度の401（k）マッチングプログラムを適用している。また、ファッションショーの前後にはヘルスケアプログラムを実施しており、従業員はリフレクソロジーやマッサージ、ヨガなどを受けることができる。さらに、年に1回、健康フェアを開催し、栄養士やエナジー・ヒーラーによる健康診断を受けられる。書ききれないほどの手厚い待遇だが、もちろん社内サンプルセールも年2回開催される。
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ダイアン フォン ファステンバーグ
「ダイアン フォン ファステンバーグ」2016-17年秋冬コレクション Photo by Rodin Banica/WWD
従業員数:500人未満
売上高:推定約5億ドル（約540億円）
ダイアン フォン ファステンバーグが掲げる目標は、女性が「自分のなりたい自分になる」のをサポートすることだ。同社の従業員の80%以上が女性で、エグゼクティブチームのメンバーはほとんどが女性だ。カルチャークラブがあり、従業員が好きな活動をするための予算が割り当てられている。「ハッピーアワー（勤務終了後のお楽しみタイム）」「ヨガ・ナイト」などを、10人ほどのグループが中心になって企画。ちなみに従業員割引制度があるのは言うまでもないが、年に数回は爆安価格で同社の製品を手に入れる機会がある。
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Arthur Zaczkiewicz訳
