東レは6月11日、最先端のウエア開発のための研究開発施設として、人工気象室「テクノラマ(TECHNORAMA)GIII」をメディア向けに公開した。北極圏や南極圏のような極限的な気候や、都会で発生するゲリラ豪雨など、多種多彩な気象条件を再現できる。
「テクノラマGIII」は、約10億円を投じ、滋賀県大津市内の瀬田工場内に設置。建物は2階建て、延べ床面積は940平方メートル。温度や湿度、風、降雨、日射などを自在に操作できる人工気象室3室には、モーションキャプチャによる動作解析システムや3次元人体スキャナー、無線式の温湿度計測システム、心肺・心電、発汗の計測機器、筋電センサーなど、人間工学から温熱生理学、感性工学までの多彩な研究領域をカバーできる機器も設置している。
また、顧客や大学との連携を強化するため、過去のテキスタイルの設計書・仕様書のデーターベースと連動したテキスタイルライブラリーも新設。糸の物性や生地設計の情報から生地の外観や着装のシミュレーターも置いている。
同社は1983年に第1世代の「テクノラマ」を同工場に、その後08年に第2世代の「テクノラマ」を中国・南通に建設。これまでユニクロ(UNIQLO)と“ヒートテック”や“エアリズム”などを開発してきた。佐々木久衛・常任理事は「第3世代の『テクノラマGIII』の最大の特徴は、最先端の3Dシミュレーターなども併設し、テキスタイルだけでなく、最先端の次世代ウエアの開発に重点を置いている点だ」という。