カード決済サービス「ワンペイ(ONE PAY)」などを手掛けたワンファイナンシャルが12日、レシートを読み取るだけで1枚10円の現金に換えることができるアプリ「ワン(ONE)」をローンチした。非常にシンプルな構造ながら、眠っている価値を換金するとともにデータを取得できるサービスに大きな期待が集まっている。今年3月に「フォーブス(Forbes)」が発表した「Forbes 30 Under 30 Asia」でファイナンス&ベンチャーキャピタル、ヤンゲストの2部門に選出されたことでも話題の高校生起業家、山内奏人・最高経営責任者(CEO、17歳)に、ローンチ当日の心境を聞いた(あまりの反響に12日の22時に一旦サービスを一時中止したといい、取材内容は22時以前のもの)。
WWD:あらためて「ワン」とはどんなアプリか。
山内奏人CEO(以下、山内):どんなレシートでもユーザーがアップロードしたものを1枚10円で買い取るというシンプルなサービスです。
WWD:ローンチ初日の手応えは?
山内:公開16時間程度ですでにユーザー数が7万人、買い取りレシート総数は24万枚を超えました。ある程度の予想はしていましたが、想像以上に利用されていて、すでに想定の200〜400倍の利用がありました。
WWD:ユーザーとしては、本人確認をするだけですぐにお金がもらえるのか。
山内:本人確認部分は外部のトラストドックに委託していますが、全国の銀行にすでに対応しているので、出金手数料200円をのぞいていつでも出金が可能です。
WWD:買い取りの限度額は?
山内:1ユーザーあたり1日10枚なので、月3000円までです。実はこの価格に非常にこだわっていて、無理やり落ちているレシートを集めてやるほどでもないけれど、ある程度の価値のある金額にしたかった。単価が安いので、全体での上限額などは今のところ設定していないんです。
WWD:どんな形式のレシートでもいいのか。
山内:ユーザーがみないい人だという性善説に基づいていて(笑)、実は写真を撮るだけで10円になります。解析をしてもよかったんですが、そのためにはユーザーも待たなければいけないし、煩雑になるなと。
WWD:そうなると、同じレシートを何回も換金したり、コンビニで大量のレシートをとってきて換金するなど、正しくないデータが集まるのでは?
山内:画像解析をすることで、同じレシートなどの不正はすぐにわかります。でも、逆に考えば10円単位でその人が不正する人かどうかのデータが集まるわけで、例えばカード会社の与信データとしては価値があるはずです。「キャッシュ(CASH)」や「メルカリ(MERCARI)」といった先行サービスがありますが、彼らがいかに不正利用を防いできたかを学んできました。だからこそ、あえてユーザーを信頼するビジネスモデルをとっています。
WWD:どんな人に使ってもらいたいか。
山内:全年齢対象ですが、特にフォーカスしたのは主婦と学生です。日常的にお金が足りなくて、そこに少額の資金調達手段を提供できればと。
WWD:ワンファイナンシャルとしてのビジネスモデルは?
山内:すでにメーカーやEC事業社と話をしていますが、実はまだ深くは決めていなくて。まずは先にデータを集めようと考えました。もちろん広告主に対してデータを提供したり、自社プラットフォームでデータを活用するSNS広告のようなやり方が考えられますが、今現在、あくまで個人的には後者がいいかなと思っています。