民泊事業最大手のエアービーアンドビー(Airbnb)が住宅宿泊事業法の施行前日となる14日、民泊事業の利便性向上を目的に日本企業36社とタッグを組んだ新組織“エアビーアンドビー・パートナーズ”を始動した。宿泊にまつわるさまざまなサービスを包括的に支援できるような体制を専門企業と整える他、パートナー企業に対してもエアービーアンドビーをプラットフォームにした新しい民泊関連事業を推進させる狙い。
参加企業にはあいおいニッセイ同和損害保険やアソビシステム、エボラブルアジア、大塚家具、オープンハウス 、KADOKAWA、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)、ソフトバンク、ニトリ、ビックカメラ、ファミリーマート、みずほ銀行など多彩な顔ぶれがそろう。ゲストとのメッセージのやり取りやチェックイン、清掃作業、決済、交通、保険といった宿泊事業をサポートするサービスパートナーと、地域に合わせた宿泊施設のラインアップを充実させるためのサプライパートナー、その土地ならではの観光を提案するメディア機能を受け持つデマンドパートナーの3種類に大別されるが、今後も参加企業は増える見込みで、カテゴリーも提携方法も柔軟に対応していく方針だ。
具体的にはCCCと組んで宿泊に応じてTポイントが貯まる仕組みを2018年内に開始する他、人材派遣会社のパソナと組んだホスト育成プログラムの拡大、小山薫堂率いるオレンジ・アンド・パートナーズと共同で民泊時代に合った住宅のプロデュース、アソビシステムとともに原宿にポップカルチャーを体験できる宿泊施設の開発などをスタートする。
イベントに合わせて来日したエアービーアンドビー共同創業者のネイサン・ブレチャージク(Nathan Blecharczyk)最高戦略責任者は、「日本で宿泊の新しい形にチャレンジできることをうれしく思う。明確で公平なルールに則り、地域に根ざした形でコミュニティーを活性化していきたい」とコメント。
パートナーを代表して発表会に登場した増田宗昭CCC最高経営責任者も、「2年前から企画面で一緒に事業を続けてきたが、エアービーアンドビーの利用者と未利用者にアンケートを取ると、未利用者の“食わず嫌い”感が明らかになった。これからは個人の時代。当社のデータベースを活用して個人の最適なマッチングをできるようにしたい」と話した。
エアービーアンドビーは2008年に創業。世界191カ国8万1000以上の都市に宿泊ができるポータルサイトとして利用者を伸ばしてきた。グローバルでの登録部屋数は500万、通算の利用者数は3億人。日本国内でもすでに6万2000の登録があり、利用者数は580万人に上る。