新アプリをローンチし、月間アクティブユーザー数も10億を超えたばかりのインスタグラム(INSTAGRAM)だが、一方で、インスタグラムを仕事の場とする国内の一部インフルエンサーから“いつか来るインスタグラム衰退の時”を恐れているという話を聞くことが増えた。インスタグラムの人気が陰り、広告案件(つまりは収入)がなくなってしまうのではーー。そんな不安にかられながらも、何をしておけばいいのかわからず、四苦八苦しているのだという。
ある数万フォロワーを抱えるインスタグラマーに疑問をぶつけてみた。すると、「自分のことを文字で語れる人が重宝されているように感じる」という答えだ。たしかに、ノート(NOTE)というブログアプリやあらためてツイッターを使うインフルエンサーが増えているなと感じている。写真だけでなく、自分の言いたいことをきちんと文字にできるスキルが必要ということだろうか。
ツイッター最大の特徴は、誰にでも見える形でオープンなコミュニケーションが取れるということだ。そしてこれが功を奏してか、ここ1年くらいでツイッターをビジネスの一手段と捉えるユーザーや企業が増えたという実感がある。出会いの場になることはもちろんのこと、ツイッターで出たアイデアがビジネスになったり、最近ではツイッター採用なるものまであるという。有名なところでは、幻冬舎の箕輪厚介・編集者やメディアアーティストの落合陽一、モテクリエイター・ゆうこすといった人々が、まさに個の力でツイッターを活用している。結果としてツイッターがビジネス・プラットフォームになっているとも言えるだろう。
そんなタイミングで、サイバーエージェントが運営する「アメーバ(Ameba)」からスキルシェアリングサービス「リキュー(REQU)」が発表された。これは誰でも参加できるプラットフォームではなく、ある一定の影響力を持つインフルエンサーだけが持つ知識や特技といったスキルを販売する場所だという。「チップ(CHIP)」というファンクラブ作成サービスも登場したし、C Channelも新会社mystaを立ち上げ、大手企業と組んで未来のスターを発掘するためのオーディションメディアを開始したばかり。企業のこうした個の力をサポートする体制も拡大してきた中で、まさにこういった知識やアイデア、自分にしか作れないものをファンに対して売っていく力が試されているのだと感じる。インスタグラムがECに連携したというのも、この流れを受けてのことだろう。
そもそも、消費者同士が金銭のやり取りをする、シェアリング・エコノミーが主流になりつつある今、あるものに価値をつけて経済を回しているのは消費者自身である。誰でも生産者になれる時代だ。事実、自分自身の価値を株価として可視化するVALUのようなサービスもあるし、誰にでも平等だったはずの時間という価値でさえインフルエンス力によって値付けされ、タイムバンク(TIME BANK)を使って売りに出すことができる。そう考えると文字にできるスキルとは書いたが、文章が書けなくても、写真のセンスがなくても、何か特化した才能があれば、それを自らどんどん売り出す時代はすぐそこだ。自らの発信でビジネスを生めるかどうか、これからのインフルエンサーに必要なものは、自分だけの企画力と売る力ではないだろうか。