ニーマン マーカス グループ(NEIMAN MARCUS GROUP)傘下の米老舗百貨店バーグドルフ グッドマン(BERGDORF GOODMAN)の新社長に、9月4日付でダルシー・ペニック(Darcy Penick)前ショップボップ(SHOPBOP)最高経営責任者(CEO)が就任する。2017年5月まで同職を務めていたジョシュア・シュルマン(Joshua Schulman)現「コーチ(COACH)」プレジデント兼CEOの後任だ。シュルマン前社長の退任後はジム・ゴールド(Jim Gold)=ニーマン マーカス グループ社長兼チーフ・マーチャンダイジング・オフィサーが同職を兼務していた。
ペニック新社長はウェルズリー大学(Wellesley College)で学士号を取得。00年にニーマン マーカス グループのエグゼクティブ・トレーニング・プログラムに参加しキャリアをスタートした。ニーマン マーカスとバーグドルフ グッドマンでマーチャンダイジングやマネジメントにおいて複数の職を経験した他、サックス・フィフス・アベニュー(SAKS FIFTH AVENUE)ではシューズサロンスペースの立ち上げプロジェクトメンバーとして活躍した。09年に、アマゾン(AMAZON)が買収したファッションEC企業、ショップボップにディヴィジョナル・マーチャンダイジング・オフィサーとして入社し、4年と待たずチーフ・マーチャンダイジング・オフィサーに昇進。16年にCEOに就任し、異例のスピードで出世を続けた。今回の就任を前に同氏は「ニーマン マーカスでキャリアをスタートし、バーグドルフ グッドマンに異動した私にとっては、故郷に帰るようなもの。バーグドルフ グッドマンのECサイトは比較的成長期にある。より広い層の顧客を獲得できる」と意気込む。
ペニック新社長の任命は、ニーマン マーカス グループの“デジタル ファースト”戦略に基づくものだ。2月に入社したジェフロイ・ヴァン・ラムドンク(Geoffroy Van Raemdonck)=ニーマン マーカス グループCEOは「バーグドルフを象徴する、実店舗での魔法のようなショッピング体験をオンラインで再現することが目標だ。消費者との結びつきこそ成長の鍵だ。ペニックはそのリーダーシップと、目的達成のためにチームに活気を与える能力でショップボップで群を抜いて出世を続けた。彼女のマーケティングの考え方は素晴らしく、魅力的な顧客体験を生み出せる人物だ」と期待を寄せた。バーグドルフ グッドマンの公式ECサイトの売上高については明らかにしなかったものの「堅調な数字を出している」と語った。
ニーマン マーカス グループが抱えるECサイトは、ニーマン マーカスとバーグドルフ グッドマンの公式ECサイト、インテリアECサイトの「ホーチャウ(Horchow)」、アウトレットECサイトの「ラストコール(Lastcall)」、そして14年に買収した「マイテレサ(Mytheresa)」で、17年の売上高47億ドル(約5123億円)のうち35%以上を占めるが、ヴァン・ラムドンクCEOは今後この比率は50%になると見ている。なお、バーグドルフ グッドマンの全体の売上高のうち、ECの売上高は30%未満と推定されている。
バーグドルフ グッドマンは公式ECサイトを再構築しており、18年後期に完成予定だ。リニューアルでコンテンツをさらに追加し、サイトのビジュアル、パーソナライゼーション、ナビゲーション機能を向上させる。さらに、インスタグラム(INSTAGRAM)が6月に発表したばかりの最長1時間の動画を投稿・閲覧できる単独アプリ「IGTV」にもベータ版パートナーとして参加するなどSNS戦略にも積極的だ。ヴァン・ラムドンクCEOは「われわれはECサイトを販売プラットフォームではなく、体験プラットフォームとして見ている。これが私にとってデジタルの未来だが、もちろんショッピングも可能だ」と括った。