アフロヘアがトレードマークの大林正隆さんは、機能性のある日常着を提案するオールユアーズ(ALL YOURS)の販売と営業を担当している。2015年設立の同社は、知名度アップのためのSNSの発信が欠かせない。大林さんは池尻大橋にある店舗から空き時間を使って、インスタグラムやユーチューブを更新。イベントやポップアップの出店で国内各地を回る際には、自撮り棒を使って動画で会場を紹介している。昨秋からは、ECショップ構築サービスのベイスがアプリ上で提供する動画配信サービス「ベイスライブ(BASE LIVE)」を使って、動画の生配信を行っている。
ファッション週刊紙「WWDジャパン」6月25日号販売員特集で紹介した販売員の一人、大林さんに店頭からのライブ配信で心掛けていることやバーチャル接客のやりがいなどを聞いた。
WWD:いつからライブ配信をスタートした?
大林正隆オールユアーズ営業担当(以下、大林):昨年9月にベイスが「ベイスライブ」を立ち上げた時からです。ブランドのファンづくりをしたいと思っていたタイミングだったとのちょうどよかったです。
WWD:ライブ配信を行う時間帯は?
大林:基本的に20~22時の間です。いろんな時間帯で何度か試して、やはり昼間より夜の方が視聴数が多かったので、日中お仕事をされている方の帰宅時間を想定しています。1時間ライブ配信をすると決めたら、まるまる1時間話通すのではなく、15分間の内容を4回撮るようにしています。実際、1時間ずっとライブ配信を見てくれるお客さまはいませんし、長い動画だと途中から入ってきた人が話の流れについていけないこともあります。なので、10分間の説明と、5分間の告知で15分を使います。4回繰り返すことで僕らも説明に慣れてきて、初回より最終回の方がクオリティーが高くなっていますし、続けることで、ウケた言い回しもわかってきて、パンチラインがつかめてきます(笑)。
WWD:動画の内容は?
大林:オールユアーズの服は、はっ水性や伸縮性、速乾性をうたったキャッチ―な機能服が多いので、カメラの前で商品紹介をしながらパフォーマンスをすることが多いです。ある時ははっ水パーカの“ワンスウィングパーカ”を着て水を被ったり、汗ジミを軽減するシャツ“ハンズアップシャツ”を着てランニングをしたりと、臨場感のあるレポートを行うこともあります。
WWD:ライブ配信に台本はないのか?
大林:基本はありません。紹介する商品を決めて、その魅力を伝えていきます。配信するときは外カメラを自分に向けて話し、もう一人のスタッフが画面側に立って、お客さまからの質問を読み上げていきます。ライブ配信の一番の長所は、お客さまと直接コミュニケーションが取れることなので、お客さまからのコメントに答えていたらだいたい時間が経ってしまいますね。
WWD:一度の配信でどのくらいの視聴者が見ているのか?
大林:多くて1時間で300~400人くらいです。SNSで告知を出してからライブをするとある程度集まってくださいます。ベイスライブはプッシュ通知を使うこともできます。
WWD:実際の店頭での接客と、バーチャル接客の違いは?
大林:少しオーバーに表現しますね(笑)。ライブ特有のドタバタ感をだして、ちょっとしたハプニングを起こしてみたりもします。あとは、とにかく明るく元気よく。ユーチューバーのヒカキンが人を引き付けるのは、いつもテンションが高く、見ているだけでも面白いからだと思います。クールに見せようとすると失敗してしまいます。
WWD:実際に購入につながるのか?
大林:百発百中ではないです。配信中に即決でお買い上げいただくこともありますが、購入につなげるのはそう簡単ではないですね。基本的に僕らのライブ配信は、ブランドを知ってもらうためのPR活動と捉えています。例えば、ジャパネットたかたのようなテレビ通販はお客さまの“購入”を求めていますが、僕らはお客さまとの“交流”のために行っているという考えです。
WWD:ライブ配信をしてよかったと思うことは?
大林:ライブ配信で新潟在住の方が即購入してくだったことがあったのですが、このように東京と新潟が一瞬でライブでつながれることができるのは、本当に今の時代だからできることだと思います。今あるものをどう生かすのか、ということが大切で、どんどん新しいことを僕らが提案していかないとお客さまに飽きられてしまいますので、お客さまの要望に応えられるように日々面白いことを考えていきたいと思っています。