ファッション

「『CASH』の次は旅行をばらまく」 光本CEOが狙う“お金がなくて旅行に行けない”市場

 撮影するだけで即査定される質屋アプリ「CASH」で話題となったバンクが28日、新サービス「トラベルナウ(TRAVEL NOW)」をローンチした。「トラベルナウ」はいわゆる旅行予約アプリだが、代金の支払いは旅行後2カ月以内という異例の“後払い”サービス。査定商品の発送前に現金を受け取れる「CASH」同様、“ユーザーを信じた”ビジネスモデルが鍵となる。同サービスについて、バンク創業者の光本勇介・最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

WWD:「トラベルナウ」はどんなサービスですか。

光本勇介CEO(以下、光本):後払い専用の旅行代理店アプリです。アプリを開くと旅行商品が並んでいて、タップするだけで旅行が手にはいる。代金は2カ月後で大丈夫、というサービスです。遊び・体験、航空券・ホテル、高速バスなど、常時4000ほどのコンテンツがあります。全て10万円以下で、海外旅行も比較的そろっています。

WWD:ビジネスモデルは?

光本:すごくシンプルで、販売に対して手数料をいただいています。旅行免許も取ったので、今後は企画の販売もできると思います。「CASH」とあまり変わらないことをやっていますね。

WWD:いつから構想がありましたか。

光本:毎年、年の初めにテーマを作っていて、去年は「お金の年になる」と思ったのでバンクという会社を立ち上げました。今年はなぜか「旅行の年になる」と直感しまして(笑)。事業ってタイミングだと思っているので、旅行サービスを作ってみようと思いました。1年前の6月28日にバンクを立ち上げ、結果として全く同じ日に2つ目のサービスをローンチすることになりました。ただ、オンライン旅行市場ってすでにめちゃくちゃ大きい規模で、しかも長い間見せ方やスキームが変わっていないんですね。旅行をテーマにビジネスを作るのであれば、これまでにない見せ方や表現をしたいと思っていました。

WWD:では、どういった市場を狙うのですか。

光本:オンライン旅行市場では既存の企業でも、それぞれ数千億円規模の規模があります。でも、この市場って、お金のある人が旅行に行ってできる市場なんですよね。裏付けがあるわけじゃないんですが、今お金がなくて旅行を我慢している人が潜在的にかなりの数いるんじゃないかと考えまして。この人たちに対して、旅行を“差し上げまくる”サービスにしたいなと。結局やろうとしていることは、人を全力で信じて旅行をばらまくということですね。

WWD:確かに、旅行は特に季節性や時間が重要になると思います。

光本:そうなんです。モノの場合は来月買えばいいやってなるんですが、旅行って、友達と休みが合ったからとか、仕事が落ち着いたからといったように時間軸が重要なんです。例えば、4月に入社したばかりの新入社員が、同期と旅行に行きたくても、今月はお金がなくて行けないと。お金がないから1回きりの体験を我慢するってもったいないと思うんですよね。今は今しかなくて、やはり何をするにしてもお金はかかるんです。息をしていてもお金がかかる。質素に暮らすという選択肢もあるかもしれませんが、思いっきり楽しむという考え方もある。大げさかもしれないですが、旅行って人生における冒険だと思っていて、ここで何かに出合ったり、気付きを得たりできると思っています。

WWD:お金のない人がご飯を食べた代わりに皿洗いをする、という話を思い出しました。

光本:そういうことかもしれないですね。今は自分の時間を売買できるようなサービスもありますし、自分の時間で牛丼を支払うような時代になるかもしれません。今までお金が絶対的な価値だったんですが、これは変わっていくでしょうね。今後は僕らも旅行に対して「CASH」のモノで支払うようなこともあるかもしれませんし、お金を払うというスタイル自体を変えていけると思っています。ただ、まずは、わかりやすく旅行に対して“後払い”という仕組みでローンチします。

WWD:「CASH」を1年間やってきた知見は生かされていますか。

光本:世の中には何かをしたくてもお金が足りないから我慢してしまうという“少額資金ニーズ”があると思っています。まさに「CASH」を通じてこの需要を確認できたわけですが、このニーズを広くカバーするためには、いろんなアプローチをしていかなければいけません。旅行は誰でも行けるものなので、今回は旅行という別の角度から同じニーズを解決していこうというビジネスですね。

WWD:上限額は「CASH」の2万円から5倍になっていますね。

光本:「CASH」で顧客を信じてお金をばらまいたからこそ得られたノウハウがあって、これがあるからこそ、ある程度のリスクの範囲は見えているんです。だからこそ、この事業は私たちがやるべき事業だと思います。リスクを予測できる分旅行代金を安くしたり、浮いた部分をユーザーに還元するようなことができると思っています。

WWD:実際、ユーザーはみな“いい人”なんですか?

光本:残念ながら、一部そうではない人がいるのは事実です。でも、みんなが思っている以上にいい人が多いんですよ。

WWD:今後、旅行以外にも何かをばらまく可能性は高いですか。

光本:もちろんです。1つは年内に作れたらいいなと思っていて、これも今はまだない市場だと信じています。

WWD:事業をグローバルに広げて行く可能性は?

光本:うまくいく国といかない国があると思いますが、全然展開の可能性はあります。ただ、日本の市場がまだまだでかいので、まずはちゃんと国内市場を開拓してからのステップになるでしょうね。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。