ファッション

“1968年”を知る Vol.6 旧社会主義国の若者が求めた自由とストリートファッションの共鳴

【COMMUNISM】

 崩壊前のソ連は、他国の文化に対して閉鎖的で、経済面でも停滞していた。資本主義国からの輸入を大幅に制限し、一般市民が着る洋服も国産品に限定されていた。1968年春、ソ連の影響下にあったチェコスロバキアのプラハで、知識人や学生を中心に民主化・自由化を望む声が強まり、チェコスロバキア共産党による民主化改革も打ち出された。「プラハの春」と呼ばれたこの一連の自由化運動は、ソ連のブレジネフ政権の軍事介入により鎮圧され、若者の夢は打ち砕かれる。

 しかしその20年後、80年代末の冷戦終結を経てソ連は解体し、東ヨーロッパ諸国にはレイブやヒップホップ、ゴス、パンクなど西側のカルチャーの波が一気に押し寄せてきた。「バレンシアガ(BALENCIAGA)」と「ヴェトモン(VETEMENTS)」を率いるデムナ・ヴァザリア(Denma Gvasalia)は、ソ連の構成国であったグルジア(現ジョージア)で81年に生まれ、ソ連解体前後にパーソナリティを形成した世代だ。彼がファッションに落とし込むミクスチャー感は、何にも属さず、自由を求める精神を基本とするストリートカルチャーに共鳴する。それは移民問題やLGBTQなど人種や性別を超えて、1人の人間としてどうあるべきかというこの時代の問題意識にも通じるものだろう。

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。