女性向けメディア「メリー」を運営するMERYが小学館取締役で女性誌「キャンキャン(CanCam)」の編集長などを務めた大西豊MERY副社長を7月1日付で社長とする人事を発表した。もともとディー・エヌ・エー(DeNA)傘下だった「メリー」は記事の転載問題をきっかけに2016年12月に一時閉鎖。その後ディー・エヌ・エーと小学館が共同出資する形で、新会社MERYを設立し、17年11月21日にリローンチした。大西新社長は1981年に小学館に入社し、「キャンキャン」編集長時代に山田優、押切もえ、蛯原友里らを専属モデルとして起用し社会現象を生み出したことでも知られるが、今後「メリー」をどう変えていくのか。
WWD:社長交代の意図とは。
大西豊・社長(以下、大西):山岸(前社長)体制の中で重視してきたのは、内容の正確性と確実な許諾の2点だった。失敗が許されない状況の中で、作成フローに莫大な時間とお金をかけてやってきたが、その結果、当初は記事配信にかかるリードタイムが想像以上に長くなった。その後の試行錯誤によって、最近では取材後1週間、早いものではその日のうちに公開という記事も出始めた。これは、ネットメディアにおいてはごく当たり前に聞こえるだろうが、「メリー」にとっては当たり前ではなかった。ようやくこうした確信を持てる体制が作れたところで、アクセルを踏もうという判断だ。
WWD:万全を期した体制の中で、記事数は順調に増えているか。
大西:1日の記事数は平均70〜100本程度まで伸びた。現在の総記事数は1万本ほどだ。
WWD:現状の組織体制は?
大西:全体では180人くらいが関わっており、社員は約60人、ライターが約90人いる。組織としては編集チームであるコンテンツ本部と広告営業やサービス企画などを担うサービス戦略本部、管理部門の経営企画本部の3つから構成される。
WWD:リローンチ後、半年を経た現状は?
大西:5カ月で月間利用者数が200万人、月間ページビュー(PV)は1億を突破した。特に、週3日以上利用するユーザーが全体の約60%いて、月間のユーザーあたりのPVは50、ユーザーあたりの毎日の閲覧時間も平均13.9分というロイヤリティーの高さだ。
WWD:コアなファンがついていると。具体的なユーザーからの反応は?
大西:ファン層は以前と大きく変わってはいないが、1日の閲覧時間が平均13.9分というのはかなり長いはずで、非常にありがたい。直近の外部調査では「メリー」に対する印象として「共感」「見ることでモチベーションが上がる」というキーワードが圧倒的に多かった。ここは成長できた部分だと思う。
WWD:収益化の状況は?
大西:広告事業を今年2月にスタートし、すでに50社を超える企業から出稿をいただいている。本格的にはこれからだが、すでに相当なポテンシャルを感じている。