ウィゴーの急成長ぶりが異彩を放っている。10年前に45億円だった売上高は前期(2015年2月期)に255億円(前期比122%)、今期(16年2月)は40店舗近い出店もあり、330億円(前期比170%)に届く勢いだ。「あまり特別なこと、突飛なことはしていない」と園田恭輔・取締役兼事業部長はいうが、「軸を時代に合わせる」ことや、「ファストファッションが選択肢の中にある若い方々に向けて、安い価格ながらもできる限りの品質やデザインにしていること」、さらには、「世の中のトレンドアイテムと新しいものとのバランス感覚」などにより、和製ファストファッションとして人気を集めてきた。
きっかけはウィメンズ商品だった。それまでメンズ中心だったが、10年頃からウィメンズを強化。さらに雑貨を広げるなど「一つ一つのカテゴリーを強化しながら商品構成を拡大することで客層が広がった」という。13年春からぐっと売り上げが伸び、現在はウィメンズのシェアが6割に上昇。メンズを買う女性客も多いという。
自社発行のフリーペーパーと新作の連動
「この単価でこの商品量ということも顧客に刺さっている」と言う通り、商品数が多いのも特徴だが、打ち出し商品は極めて明確だ。5年前から、毎月出している自社発行のフリーペーパーに合わせて新作をリリースすることで、企画・MDにリズムを生むとともに、店頭とフリーペーパーとでオススメコーティネートを連動して提案できる仕組みとしている。ストリートテイストを得意とするが、トレンドのMA-1やガウチョなど幅広いアイテムを展開している。秋冬のヒットアイテムはMA-1。メンズアイテムで秋物4900円、冬物5900円と低めの価格設定だ。店頭クーポンなどシーズン中のプロモーション効果でプロパー消化率は7〜8割とひときわ高い。MDがPOSデータを分析し、前年実績も視野に入れつつも、新しい部分を積極的に取り入れる。コラボアイテムのバリエーションも多彩だ。
ウィメンズの顧客が伸びるもう一つのきっかけは、女性スタッフの個人アカウントの活用だった。SNSの中でも購買客層はツイッターユーザーが多いといい、「どのツイートがどれだけ見られたかなどについては、きめ細かく担当者が分析して共有している」。店ごとにアカウントを持ち、新作の入荷情報や店頭イベント告知、スタッフのコーディネートの投稿など頻繁に情報の発信を行うことで、「フォロワーの生活に入り込む」。