「ミュウミュウ(MIU MIU)」2019年プレ・スプリング・コレクションが6月30日、パリの老舗「ホテル レジーナ(HOTEL REGINA)」で開催されました。会場に到着すると、大勢の人だかり。セレブの来場があるのかもしれないと思いながら、“ミュウ ミュウ クラブ”のバッジを付けた制服のスタッフに会場に案内されました。扉を開けると、シャンデリアが輝くサロン。一つ一つ異なるチェアがシートになっています。インビテーションに記してあるルームナンバーがシートナンバーという遊び心あふれる演出です。シャンデリアが輝くサロンから続く長い大理石の廊下、ミラーの天井という、とてもパリらしい設定でショーが始まりました。
ファーストルックはサテンのマキシドレス。クリスタルがちりばめられたストラップの後ろにはフェザーの飾りが施されています。レッドカーペットにふさわしいマキシ丈のドレスが続々と登場。それらにはクリスタル、フェザー、レオパード柄と女性が好きなグラマラスな要素がちりばめられています。ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)はそんなエレガントなドレスに大振りのケーブルニットのカーディガンやスポーティな上っ張り風ブルゾンをスタイリング。丈はマキシかミニで、エレガンスとスポーティの融合を試みました。猫やタイガー、ひよこプリントなど“かわいい”アイテムがあるかと思えば、ボトムスから透けて見える水着やピーカブーのイブニングドレスでコケティッシュな部分を表現。女性の持つ多面性が表現されています。腕にはパールやクリスタルをちりばめたデジタルウオッチ。ラゲージやバスケットディテールのバッグがバカンスのムードを高めます。ラストはスポーティなロングコートに1950年風のサングラスをかけたユマ・サーマン(Uma Thurman)が登場。カメラマンの前でコートを脱ぎ捨て、ドレス姿でランウエイを闊歩しました。
モデルには、おなじみの若手からベテランのナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)をはじめ、サーマンの他にクロエ・セヴィニー(Chloe Sevigny)やケイト・ボスワーズ(Kate Bosworth)、グウェンドリン・クリスティー(Gwendoline Christie)ら女優をキャスティング。フロントロー常連のアレクサ・チャン(Alexa Chung)やスキ・ウォーターハウス(Suki Waterhouse)らもモデルとしてランウエイを歩きました。ゴージャスな会場のデザインは、映画「アンナ カレーニナ(Anna Karenina)」や「つぐない」などのセットを手掛けたサラ・グリーンウッド(Sarah Greenwood)が制作したそうです。ショーのBGMは、ボサノバなどと恋愛映画の代表格である「花様年華」や「ウォリスとエドワード 英国王冠を賭けた恋(W./E)」などのサウンドトラックをミックスしたものが使用されました。
ミウッチャは映画というフィルターを通して2019年プレ・スプリング・コレクションを表現したかったのでしょう。さまざまな年齢のモデルや女優をキャスティングしたのは、全ての女性に対する賛歌のように思えました。また、「#MeToo」のムーブメントなどを通して社会的に発言権を得た女性に「年齢問わず、女性らしさを忘れずに自由に楽しく」というメッセージが込められたハッピーなコレクションでもあると思います。鮮やかなフューシャピンクのドレスでフィナーレに登場したミウッチャがこのメッセージを体現していると感じました。男性と対等にと全ての女性がダークスーツを着始めては世の中面白くありません。女性が自由にファッションを楽しめる男女平等の時代がすぐそこまで来ていると思いたいものです。