企業のブランディングやPR事業などを請け負うツインプラネットが2017年に立ち上げた、“中途半端なデブ”のためのブランド「メイビー ア ビット チャビー?(,MAYBE A BIT CHUBBY? 訳:もしかして、ちょっと太ってます?)」。ツインプラネットの社員で自身も「中途半端なデブ」と位置付ける野村諭史ブランドディレクターが手掛ける同ブランドがこのほど、ブランド立ち上げ時に販売したアソビシステムの中川悠介・社長とのコラボレーション商品の第二弾を発売した。デニムのセットアップ(3万9800円、税込)とTシャツ(8900円、同)をそろえる今回のコラボアイテムのサイズは2Lと3Lのみ。「ディーゼル(DIESEL)」の元クリエイティブ・ディレクターで「ニコパンダ(NICOPANDA)」を手掛けるニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)の弟、アンドレア・フォルミケッティ(Andrea Formichetti)がディテールを監修したアイテムは、体型をカバーしつつもスタイリッシュに見せる。しかし、自称「中途半端なデブ」の野村ディレクターと中川悠介アソビシステム社長がモデルとなっているビジュアルイメージを見る限り、「この2人は本当に“中途半端”なのだろうか?」という疑問を禁じ得ない。そこで今回、野村ディレクターにインタビューを敢行。販売中のアイテムの特徴から、「普通に太っているのでは?」という無礼な質問まで投げかけてみた。
WWD:今回のアイテムのポイントは?
野村諭史ブランドディレクター(以下、野村):まず一つ目は、“デニム的セットアップスーツ”です。デニムまわりのこじゃれたアイテム、中途半端なデブには選択肢すら与えられませんでした。デニムのセットアップという難易度が高いアイテムだからこそ、中途半端なデブが挑戦すべきだし、挑戦したいと企画したアイテムです。我々のこだわりのさりげない、ワンポイント、イエローの差し色。カットデニムで楽。そして、インディゴ染めを施し、着用すればするほど、己だけの味が出てくる仕立てになっています。もう一つが、“フロントオーバーラップTシャツ”です。こちらは相当原価が高いです。中途半端なデブは、ただでさえだらしないのですが、中途半端な生地だとよれて、さらにだらしなくなるため国内のかなり上質な綿100%の生地を採用しています。また、シルエットも重要なポイント。Tシャツ1枚になって、腹の膨らみを含めボディーラインがピタッとでてしまう最大のリスクをさけるために、フロント分を長めに採寸しています。中途半端でもTシャツ1枚でも恥ずかしくない1枚に仕上がっています
WWD:「中途半端なデブ」の定義はある?
野村:「定義はなく、自分で決める」と定義しています。「俺はこれ以上太ってはダメだ」と思う瞬間の体重が本来の意図でありますが、我々の身近な、デブネットワークの独自の統計から、身長や肉付きなど個人差はありますが体感的には100キロを超えから115キロをイメージしています。このゾーンがある意味、健康者とデブのミックスグレーゾーンだと考えています。
WWD:野村ディレクターが尊敬する“スタイリッシュな中途半端デブ”はいる?
野村:中途半端な定義が、個人の理解による部分もあるので、尊敬する方に失礼にあたるかもしれないので控えさせてください。ただ、「これ以上ぶっちゃけ中々痩せられないけど、これ以上は太らんぞ」と中途半端なデブの中でも意識高いすべての方をリスペクトし、皆さんでつながって励ましあいながら、これ以上太らないよう、高めあっていきたいと考えています。
WWD:アソビシステム中川社長もそうですが…実際、中途半端ではなく太ってますよね?
野村:はい。もはやただのデブなんじゃないかという疑念は常にうすうす気付いております。中川氏は昨年、人生をかけて減量の追い込みをかけ、推定140キロから115キロへ。ギリギリ中途半端なデブゾーンに帰還しました。私も100~105キロをキープしていました。しかし昨年、発表した第1弾をセットアープスーツを手にし、我々はやってしまったのです。散々、これ以上太らないと言っときながらのリバウンド。もう、ただのデブだと言われても致し方ありません。しかし、我々はもう1回戻るのです。このブランド、アイテムがある限り、何度でも。この中途半端なグレーゾーンに。第2弾アイテムは、第1弾と採寸は変えていません。 我々が勝手に決めた規格ですが、 特殊規格です。これが入らなければ、ただのデブ。このサイズが、中途半端なデブ。最期の砦だと信じて、日々精進してまいりたい所存です。