「ディオール(DIOR)」は、1960年代のユースカルチャーをインスピレーション源にした2018-19年秋冬コレクションの発売を記念し、パリ・モンターニュ通りにある本社と本店が入るビルを1960年代当時の雑誌やポスターのカラフルなコラージュでラッピングした。
このコラージュは2月に発表した同コレクションのショー会場に施したコラージュと同様のもの。68年の五月革命時の学生運動やフェミニズム運動のポスターなどをもとに、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)=クリエイティブ・ディレクターが今の「#MeToo」の時代に蘇らせた。コラージュの中にはコレクションでも登場した“Women Empowerment”や“Youthquake”、“C’est non, non, non et non!”といったコレクションに登場するフレーズも見られる。
就任以来フェミニズムをクリエイションに取り入れてきたキウリは、「五月革命の68年も『#MeToo』が盛んな今も、大きく時代が変わる時。だから68年に着想を得た。当時も今も若い世代が私たちに訴えかけているけど、彼らが訴えていることをきちんと聞いて理解しなければならない。ファッションは、自分が好きな時に好きなものを自分のスタイルで自由に着ることができる楽しいものだと伝えることが大事。そして68年は自由の時代だっだ。昔のファッション業界はスタイルを押しつけてきた。でもファッションは消費者との対話でないといけない。コレクションだけでなく、キャンペーンやストアでもコミュニケーションは必須」と語る。
2月に就任したピエトロ・ベッカーリ(Pietro Beccari)最高経営責任者は「今季はとてもメッセージ性が強いコレクションだから、ストアの内装もキャンペーンもそれと同じように強いものにしたかった。多くの人が通りすがる街の中でも、SNS上でも存在感を示したい。今人々がストアを訪れるのは、ただ商品を買うためだけでなく、ブランドを象徴する価値観や美学を感じに来るんだ」と話す。
このコラージュのラッピングは、7月19日から順次ニューヨーク、ビバリーヒルズ、ワシントンD.C.、ソウル、北京、上海、香港、シンガポール、そして東京の店舗でも実施される。店内の商品は外観のラッピングにマッチするものをそろえ、さらに同日から99年にジョン・ガリアーノ(John Galliano)が生み出し、キウリが再デザインした“サドル バッグ(Saddle bag)”も発売する。