ファッション

「アンディフィーテッド」創設者のジェームス・ボンドが明かした世界戦略

 スニーカーとアパレルの米LA発「アンディフィーテッド(UNDEFEATED)」が勢力を拡大中だ。6月、東京渋谷区のキャットストリートにオープンした渋谷店を皮切りに、今月14日には原宿明治通り沿いに国内最大規模の店舗をオープンする。さらに9月までに大阪難波、名古屋、新宿ルミネエストへの出店も控え、日本国内に12店舗となる。日本総代理店を務める松下一英スタージョイナス(STARJOINUS)社長は取材に対し、2022年までに25店舗体制を計画すると述べる(「WWDジャパン」6月18日号に掲載)。出店を加速する背景は何か?渋谷店オープンの際に来日した「アンディフィーテッド」共同創設者の一人、ジェームス・ボンド(James Bond)に迫った。

WWD:渋谷店を見て率直にどう思う?

ジェームス・ボンド(以下、ボンド):とても満足しているよ。長い準備期間が必要だったけど、海外にいる時も日本チームと電話やメールで密に連絡を取っていた。日本チームは本当によくやってくれていて、本国(アメリカ)の店舗、ブランド力を保ちながらもうまく広げてくれていると感じている。

WWD:今回はこれまでと店舗コンセプトを変えたと聞いたが、新しい店舗のコンセプトは?

ボンド:大きく変えたというよりも、「アンディフィーテッド」はアパレルとスニーカーの専門店なのでやり過ぎはよくない。クレイジーにするのではなく、シンプルでミニマルなデザインを心掛けた。木やメタルなど、あらゆる素材をなるべくシンプルに、派手な色は使わず、ベンチから洋服をたたむスペースまで、男らしく統一した。そして、商品の見やすさにもこだわっている。

WWD:ブランドのコンセプトであるミリタリーやスポーツの要素が随所に使われている。

ボンド:ボクシングリングをイメージしたハンギングバーやクロストレーニングのコンバットロープ、今座っているこのベンチもジムをイメージしているし、レザーの部分はボクシンググローブを参考にした。全部ひっくるめてスポーツの要素をアップデートしたんだ。ただ派手にしたかったわけではなく、さりげなく取り入れた。

WWD:ブランドとしての方向性を改めて教えて欲しい。

ボンド:出店も進めるけど、オリジナルアパレルにも力を入れていく。品質はもちろん、作りや形、素材に注力して、ブランドストーリーやブランドイメージをもっと強く打ち出す。全体のキュレーションも見直して、より統一したセレクトを行っていく。ファウンダーの思いなどを色濃く伝えていきたいと思っている。

WWD:今後も出店を控えているが、店舗網拡大の意図は?

ボンド:ブランドの存在感を増して、「アンディフィーテッド」をより多くの人に知ってもらうためだ。何より、オリジナルアパレルをより多くの店舗で売れる。会社としてはスニーカーだけの販売に頼るのではなく、オリジナルアパレルの比率を上げたい。卸だと他の店に頼ってしまうことになるので、そうではなく、われわれオリジナルの生命線を作ることが大事だと考えている。

WWD:今後の出店計画は?アメリカと日本以外で今、重要だと思っているマーケットはどこか?

ボンド:まず、数カ月以内にカリフォルニアのグレンデールとロサンゼルス・ダウンタウンに出店する。それで、アメリカは全8店舗になる。その後、NYの出店も計画しているので、東海岸も開拓していきたい。実は、7月に香港、10月に中国をオープンする。2019年にはパリも出店計画があって、これが初のヨーロッパ進出となるよ。

WWD:15年に「Pick your shoes.com」の創設者、エリック・ペン・チェン(Eric Peng Cheng)を最高執行責任者(COO)に迎えて以降、店舗網拡大を加速しているが、エリックCOOは「アンディフィーテッド」に何をもたらしたのか?

ボンド:エリックはビジネス開発のリーダーだ。経営システムやビジネスをどう拡大していくかのノウハウがチームには必要だった。彼の影響は非常に大きい。

WWD:ズバリ、今ビジネス的に調子はいいか?

ボンド:全く不満はない。

WWD:共同創設者のエディ・クルーズ(Eddie Cruz)はLAの「シュプリーム(SUPREME)」や「ステューシー(STUSSY)」のオーナーでもあるが、そちらの調子は?

ボンド:詳しくは言えないが、「シュプリーム」は間違いなく調子がいい。

WWD:LAでは先日、日本人アーティストのVERDYともコラボし、ポップアップストアをオープンした。日本でもポップアップなどのイベントを仕掛けていくか?

ボンド:今すぐに企画しているポップアップはないが、イベントなどはいつも自然な流れで行っている。何かタイミングが合えば、フットワーク軽くチャレンジしたい。

WWD:「シュプリーム」が今年の「CFDAメンズアワード」を獲ったが、どう思う?

ボンド:若者が何に興味を持っていて、何にお金を使っているか。それが「シュプリーム」だったということだと思う。ストリートウエアを動かしている金額はとても大きく、今ストリートウエアを無視することはできない。そういう状態だから、メゾンやラグジュアリーもインスピレーションをそのシーンから得ている。自然な流れだと思う。

WWD:「アンディフィーテッド」がCFDAを獲得する可能性は?

ボンド:そんなことはないと思うよ(笑)。

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