ルミネは1月12日に賀詞交歓会を行い、同質化からの脱却と、付加価値が高く“人財”を生かした事業で、ルミネおよびファッション業界を盛り上げてほしいとメッセージを発信した。
新井良亮ルミネ社長は、ここ数年、セールに頼らない本質的な売り上げと利益の追求を提唱してきた。周辺の商業施設がセールをスタートした中でも、昨年12月末〜1月5日までプロパー販売を継続し、前年比101.2%と健闘。1月6〜11日に実施したバーゲンの売上高は、93.1%と大きく落とした。ちなみに、昨年12月の月間売上高は、前年同月比100.6%だった。
バーゲン対策は抜本的に見直し
「今年のバーゲンを見る限りマーケットの状況は劇的に変化し、さらに混迷を極めている。気候の変化などが原因の一つに挙げられるが、生産時期や場所、量なども抜本的に見直す必要がある。セールの早期化で在庫処理をする従来のシステムと決別し、売り上げ至上主義から利益重視に転換を図らなければならない。魅力ある商品りに時間と労力をさらに割いてほしい」と、モノ作りへの注力と、大量生産・売り減らし型から、生産リードタイムを短縮化した生産サイクル改革や、完成度の高い商材開発を要請した。
店舗展開は拡大から底上げ強化
また、店舗展開に関しては、むやみな拡大志向から発想を切り替え、既存店舗のブラッシュアップと売り上げの底上げを促した。「新規店舗で利益を出すには数年がかかる。新たな人材も確保しなければならない。それよりも既存店のリニューアルに投資を割き、これまで培ったモノや“人財”をベースに売り上げの底上げをしてほしい」。さらに、「経営陣には積極的にショップに出向いてもらいたい。劇的に変化するマーケットにショップが対応できずにいる状況を肌で感じ、早期に問題解決のために、正しい方向にかじを切ってほしい。ショップスタッフのモチベーションアップを最大限に高めることも重要だ」と語った。
インバウンドはさらなるサービス強化
インバウンド対応については、「昨年5月から、免税カウンターをルミネ5館7カ所に設置。ルミネエストに来店するアジア人観光客の約5割が同サービスを活用し、ショップの83%が免税サービスを導入している」として、さらなるサービス強化を図る。
「ニュウマン」の出店テナントの約8割が新宿エリアやルミネ初出店
3月25日には、新宿新南口に新商業施設「ニュウマン」の開業を控えている。出店テナントの約8割が新宿エリアやルミネ初出店だ。「シャネル」のコスメやフレグランスを自由に体験できる新スタイルのビューティーバーや、ルミネが自社編集する和菓子のセレクトショップ「えんなり」など、新たな取り組みもスタートする。5階に設置する文化交流施設「ルミネゼロ」では、こけら落としイベントとして「シャネル・ネクサス・ホール」とコラボレーションしたオープニングイベントを行う。
海外展開を本格化
さらに海外展開も本格化する。これまでシンガポールとジャャカルタでリサーチを行ってきたが、3月にシンガポールに現地法人を設立する。物件交渉などを開始し、2年以内に現地でルミネを出店したい考え。将来的には、東南アジアで店舗拡大を目指す。