「ユニクロ(UNIQLO)」を展開するファーストリテイリングの2017年9月~18年5月期連結決算(国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前年同期比15.3%増の1兆7041億円、営業利益が同32.3%増の2388億円とどちらも計画を上回った。純利益は同23.5%増の1483億円だった。国内ユニクロ事業、海外ユニクロ事業、ジーユー(GU)事業の各部門で増収増益となったが、中でも海外ユニクロ事業が好調。17年9月~18年2月期の中間決算に続き、海外ユニクロ事業の売上収益が国内ユニクロ事業を上回った。
海外ユニクロ事業は、売上収益が同27.5%増の7160億円、営業利益が同65.0%増の1124億円となった。特にアジアがけん引し、中国本土、韓国は「計画を大きく上回る大幅な増益」。東南アジアは、「タイ、フィリピン、インドネシアで売り上げの高い伸びが継続」した。「アジアは『ライフウエア』として浸透してきたことで、日本同様の商売ができている」と岡崎健グループ上席執行役員CFO(最高財務責任者)。
欧州はロシアが特に好調、欧州全体でも既存店売上高は前年越えだった。一方、アメリカは引き続き赤字だが、赤字幅は改善した。「アメリカは性急に出店を重ね過ぎた。ニーズが非常に多様な国の中で、店舗により好不調が出ており、この3年間で立て直しを進めてきた」として、19年8月期の黒字化を目指す。
国内ユニクロ事業は、売上収益が同7.8%増の7044億円、営業利益が同29.6%増の1200億円だった。3~5月の既存店売上高は同5.4%増。3~4月に高気温が多かったことで、「エアリズム(AIRISM)」「UT」などの夏物商品が動いた。感動パンツ、ジーンズ類が好調だったことで客単価もアップした。RFID(無線電子タグ)導入による効率化での人件費削減、サプライチェーンマネジメント改善による物流費の圧縮も増益に貢献した。
ただし、5月は恒例の誕生感謝祭があったものの、低気温のために既存店売上高は前年を割り込んでいる。続く6月も国内既存店売上高は前年を割っており、7月は西日本豪雨被害による売り上げ落ち込みも予想される。「(5月の落ち込みは)来店しようと思っていただけるようなニュースの発信が不足していた。来期に向けて修正したい」。
ジーユー事業は売上収益が同6.4%増の1666億円、営業利益が同1.7%増の150億円となったものの、3~5月の既存店売上高は前年を割り込んだ。キャンペーンで打ち出したマドラスチェックのボトムスやトップス、ロングスカートなどが不振だったことに加え、品番数の拡大による欠品も生まれている。改善のために19年8月期に向けては、トレンド商品の品番数を大幅に絞って効率を高めるとともに、よりマストレンドへの対応を強化。防寒衣料、ジーンズ、Tシャツ、パジャマといった実需商品を拡大する。また、サプライチェーンマネジメント改革を進め、ユニクロ同様に“情報製造小売業”への変革を進める。
18年8月期は、売上収益で同13.3%増の2兆1100億円、営業利益で同27.5%増の2250億円、純利益で9.0%増の1300億円を見込む。米中の貿易摩擦による中国市場と生産面への影響については、「市場への影響は予期できない部分もあるが、われわれは景気よりも天候に影響される部分の方が常に大きく、あまり不安視はしていない。生産面では問題は限定的と捉えつつも、リスク回避のためにベトナムなど他国での生産拡大も考える」という。