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「ボルサリーノ」が投資会社による完全子会社化で倒産危機脱す 日米が復活の鍵

 伊投資会社のヒエレス エクイタ(HAERES EQUITA)は、倒産の危機にあったイタリアのハットメーカー、ボルサリーノ(BORSALINO)の生産機能、直営5店を含む10店舗などの資産を7月12日に行われたオークションで640万ユーロ(約8億3840万円)で落札・買収し、もともとブランド名の使用権を有していたボルサリーノを完全子会社化した。

 フィリップ・カンペリオ(Philippe Camperio)=ヒエレス エクイタ最高経営責任者(CEO)兼エグゼクティブ・チェアマンは、「ボルサリーノを救済し保護するのに3年かかったが、3年前に目指していたことは達成できている。今の目標はボルサリーノの目を覚まさせることだ」と語る。

 同氏によれば、ボルサリーノは今後5年間で1年あたりの生産量を5倍に、生産に携わる従業員数は1年あたり5〜10%増やし、店舗は1年に10店舗オープンするという。現在オンラインの売上高は全体の5%にすぎないが、2019年には直営のECサイトを立ち上げ、19年末までにニューヨークに旗艦店をオープンする。また、他ブランドやデザイナー、アーティストとコラボした限定コレクションも発売し、商品の若返りとリブランディングを図る。さらに、現在売上高の30%を占めるウィメンズ事業も拡大する。

 カンペリオCEO兼エグゼクティブ・チェアマンは「成長の鍵を握るのはブランドの国際化。日本とアメリカが1番魅力を感じている市場だ。日本で、この夏からディストリビューションを再開する。アメリカでは帽子店をはじめ百貨店やセレクトショップに商品を置きたい。かつてボルサリーノはアメリカで1年にハットを1億個売っていたというが、ニューヨークのアッパーイーストサイドだけで1億個売ることが目標だ」と話す。

 今後の新規上場(IPO)の可能性については「非常に可能性は高い。IPOは健全に成長を早めてくれるだろう。ミラノかロンドンのAIM市場(新興企業向け市場)に上場する可能性はある」とカンペリオCEO兼エグゼクティブ・チェアマンは答えた。

 1857年に創業したボルサリーノは、前オーナーのマルコ・マレンコ(Marco Marenco)が詐欺破産と総額35億ユーロ(約4585億円)に上る脱税のために指名手配され、スイス・ルガノで2015年4月末に逮捕されたことを機に財政危機に陥った。その後、再生を目指して資本家探しを行い、17年7月にヒエレス エクイタが1800万ユーロ(約26億6400万円)で買収し親会社になった。その際ヒエレス エクイタは、税金も納めず取引先にも借金を重ねていたボルサリーノの債務に関する問題解決について、アレッサンドリア州地裁に仲裁を要請していた。しかし、17年12月にこの要請が却下されたために倒産の可能性が浮上した。18年6月にアレッサンドリア州地裁から返済期限を18年7月末まで延期するという合意を得て、事業の継続および商品の配送、従業員の保護が確定した。

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