「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI、以下プッチ)」が復調している。2018年1~6月の直営店の売上高は前年同期比25%増だった。卸も、ビームス ハウス(BEAMS HOUSE)六本木店やユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)六本木店の店頭取材で好調に推移。最も買い付け額が大きいヴィア バス ストップ(VIA BUS STOP)では今シーズンのプロパー消化率が80%をマークした。
復調要因は2つある。1つ目は16年春夏からクリエイティブ・ディレクターを務めたマッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Giorgetti)が17-18年秋冬にブランドを去り、18年春夏はデザインチームが手掛けたことで、アーカイブの柄を生かした「プッチ」らしいアイテムが多くそろったことが挙げられる。ジョルジェッティはストリートムードを捉えるのがうまく、「プッチ」に新風を吹き込み、業界関係者の中では話題になり評価も高かった。一方で、売り上げの75~80%を占めるプレタポルテにおいては、ジョルジェッティの提案はマッチせず、売り上げは低迷していた。奥村美香理LVMHファッション・グループ・ジャパン エミリオ・プッチ ジャパン コマーシャルディレクターは「プレタポルテは高価格ゆえに顧客中心のビジネス。しかし、顧客は年齢層が45歳から50代が中心でデザイン面で難しく、打撃は大きかった。しかし、18年春夏はより幅広い層にも合うデザインで顧客が戻ってきたことに加え、セレクトショップを中心に20代後半から30代の新しいお客さまを開拓できている」と話す。
2つ目は、春夏トレンドが「プッチ」の提案と重なった点だ。特に鮮やかな色が求められたシーズンにおいて、「プッチ」のアーカイブ柄を取り入れたデザインTシャツ(4万6000円程度)がよく動いた。また、続いているスニーカーブームが、スニーカー“シティ アップ”(6万4000円程度)の人気を後押しした。スタンドフリルが特徴で、甲高・幅広の足でもフィットするエラスティックゴムのディテールが履きやすいと、若い新客から70代の顧客まで幅広く支持を集めた。デザインTシャツもスニーカーもジョルジェッティ時代に登場したモデルだが、売れ行きを底支えするキーアイテムになっており、スニーカーの売り上げは全体の10%を占めるまでになった。また、エントリー商材として、三つ折り財布(3万7000~3万8000円)も人気だ。
「プッチ」の日本の店舗数は直営店が6店舗、卸は9アカウントで、売り上げ比率は直営店が8割、卸が2割となっている。「今後も新客開拓とブランドイメージを広げるために卸を強化していく」と奥村ディレクターは語る。