「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)」は22日まで、2019年春夏のインスタレーション“For Witches”を東京・東品川のテラダ アート コンプレックス(TERRADA Art Complex)内のギャラリーで開催している。会場には、“近代の家庭生活を体験した魔女”のアートピースをはじめ、“現在に生きる魔女のための衣服”をイメージした「リトゥンアフターワーズ」と「リトゥン バイ(WRITTEN BY)」の新作を展示している。この“For Witches”は、昨シーズンまで3季連作の“フラワーズ”に続く最新コレクションシリーズで、過去から現代まで“いつの時代も社会は魔女性を必要とする”という考えに基づいた連作になる予定だ。21、22日の2日間は一般公開し、ウエアの受注も行っている。
コンセプチュアルなアートピースは、ウエディングドレスを着た魔女とその夫がミイラ化した作品。4体の魔女のミイラはそれぞれ料理、トイレ掃除、アイロンがけ、ゴミ出しなど家事をしている姿で、魔女に怒られた設定の夫のミイラは、ネクタイを跳ね上げて床に倒れており、山縣良和デザイナーならではのウィットを効かせている。トイレ掃除をしている魔女のアートピースには温水洗浄便座のトイレがセットになり、アイロンがけをする作品にはバラ柄のアイロン台を一緒に付けている。また同コンセプトのミイラのアートを額に入れた作品を5点や、加工したビンテージウエディングドレスを披露している。アートピースは一部販売中で、魔女と夫のミイラの5体セットで300万円、額に入ったアート作品は各20万円。
「リトゥンアフターワーズ」は、オールホワイトのドレス(4万8000~25万円)やアウター(5万2000~10万8000円)、ブラウス(6万2000~8万8000円)、パンツ(4万8000円)、付け襟(5万8000~10万8000円)などをそろえている。「リトゥン バイ」ではグラフィックTシャツ(4200~4800円)やスエット(6800~7200円)など手頃な価格帯の商品を並べている。
山縣デザイナーは「アメリカのトランプ政権の影響もあるが、世の中は保守的なムードが強まる中、女性の生き方が変わっている。さまざまな文化がある中で、異分子を排除するのはよくないことだと思う。魔女も過去には差別を受けてきたという歴史がある。一言では説明できないことだが、彼女たちのような存在を通してダイバーシティーを表現したい」と語った。また、アートギャラリーで発表する理由を「僕のモノ作りは特殊で、一般の販売ルートに乗せることが難しい。ファッションだけでないアートをコンテンポラリーギャラリーで展示することで、ギャラリストの人々も巻き込み、ファッションだけでない違う歯車になるように挑戦していきたい」と明かした。
■"For Witches"
日程:バイヤー・プレス限定7月18~20日/一般公開日21~22日
時間:11:00~19:00
場所:URANO
住所:東京都品川区東品川1-33-10 テラダ アート コンプレックス3階