サステイナブルなカシミヤサプライ企業、米ナーダム(NAADAM)が、シリーズAファンディング(企業のベンチャーキャピタル投資の最初のラウンド)で1600万ドル(約17億9200万円)を調達したと明らかにした。ヴァンテッラ キャピタル(VANTERRA CAPITAL)を筆頭に、「マイケル コース(MICHAEL KORS)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」の大株主でもある香港の投資家サイラス・チョウ(Silas Chou)が率いる投資会社トーチ キャピタル(TORCH CAPITAL)や、伸長性のあるデジタルベンチャーに投資することで知られるユースタート クラブ(U-START CLUB)などの投資会社が出資した。
ナーダムは、マシュー・スキャンラン(Matthew Scanlan)とディードリック・ライセマス(Diederik Rijsemus)、ハダス・サール(Hadas Saar)が2015年に設立。設立のきっかけはスキャンランとライセマスがモンゴルに旅行した際に、アメリカ人ジャーナリストと共にゴビ砂漠の遊牧民のインタビューに同行したことがきっかけだった。2人はそこで3週間過ごした後、遊牧民との直接取引によるサステイナブルなビジネスモデルによって安価にカシミヤを提供することに成功した。中間業者を排除することによって遊牧民からは従来より50%高い値段で買い付け、消費者には50%安い価格で提供できるという。ナーダムが設立した基金ゴビ リバイバル ファンド(Gobi Revival Fund)はモンゴルの遊牧民の約1000家族を支援し、25万頭以上のヤギに獣医による医療を提供している。また化学薬品や漂白剤は使わずに、従来グレードAとされているカシミヤよりも30%長い繊維を使用している。長い繊維を使用することで、服の耐久性が高くなるという。
ナーダムは現在ニューヨークに本社を、中国とアムステルダムに拠点を構えている。同社はウィメンズ、メンズ、インテリアのコレクションを発表しており、卸ビジネスも行なっている。これまではECサイトで販売していたが、9月にはニューヨークのウエストヴィレッジに初店舗を出し、将来的には米西海岸にも体験型の店舗を構える予定だ。
スカンラン最高経営責任者は「成長率をキープするために1段階上のビジネスパートナーを見つけることが目標だった。経験豊かな人や、経営の観点を持った人、今後のシードラウンドでも資金を提供してくれる人を探したかった」と語る。同氏によればナーダムは過去3年間、毎年300%の規模で拡大を続けており、シリーズAファンディングで得た資金はマーケティング、広告、ブランドコミュニケーション、小売りに引き続き投資するという。
ナーダムに出資したヴァンテッラ キャピタルのシャド・アズィーミ(Shad Azimi)=マネジングパートナーは「ナーダムは伝統的なサプライチェーンから中間業者を省き、強力なEC戦略でミレニアル世代をターゲティングすることによって市場で素晴らしいポジションを築いている。ナーダムのバックグラウンドとなるストーリーはとても独特だし、使命感にあふれている。これが消費者とパーソナルなつながりを作っているのだと思う」と期待を語った。