ケリング(KERING)の2018年1~6月期決算は、売上高が前年同期比26.7%増の64億3190万ユーロ(約8361億円)、営業利益が同55.5%増の17億3230万ユーロ(約2251億円)、純利益が同54.9%増の12億6220万ユーロ(約1640億円)と増収増益だった。
ブランド別に見ると、全体売り上げの62%を占める「グッチ(GUCCI)」が同36.0%増の38億5280万ユーロ(約5008億円)、次いで全体売り上げの13%を占める「サンローラン(SAINT LAURENT)」が同13.7%増の8億820万ユーロ(約1050億円)だった。
絶好調の「グッチ」は16年12月期の売上高が前期比12.3%増の43億7830万ユーロ(約5691億円)、17年12月期が同41.8%増の62億1120万ユーロ(約8074億円)と2年連続で大幅伸長を達成しており、6月には売上高100億ユーロ(約1兆3000億円)を目指すと発表したばかりだ。
一方で、17年在籍したトーマス・マイヤー(Tomas Maier)前クリエイティブ・ディレクターが6月に退任した「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」は同6.4%減の5億5220万ユーロ(約717億円)と減収だった。同社は「セリーヌ(CELINE)」で経験を積んだダニエル・リー(Daniel Lee)新クリエイティブ・ディレクターに期待を寄せている。ジャン・フランソワ・パリュ(Jean-Francois Palus)=ケリング マネジング・ディレクターは、「在籍数週間ですでにチーム内のエネルギーが変わってきていると感じる」と語る。
「グッチ」の好調ぶりがいつまで続くかを疑問視する声が上がる中で、次のスターブランドになるのは「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)」だという。スニーカーの“トリプルS(TRIPLE S)”などのヒットで業績に貢献している「バレンシアガ(BALENCIAGA)」を目指す。ケリングのジャン・マルク・デュプレ(Jean Marc Duplaix)最高財務責任者(CFO)は、同ブランドの個別の数字を開示するにはまだ小さすぎるというが、16年までサンローランの最高経営責任者(CEO)だったエマニュエル・ジャンツブルジェ(Emmanuel Gintzburger)CEOの下で確実に成長していると説明する。
ケリングは18年1月に、保有していたプーマ(PUMA)株の70%を同社株主に現物分配し、同年4月にはアクションスポーツブランド「ボルコム(VOLCOM)」を売却するなど、ラグジュアリー事業に注力するために事業を整理している。また、同社は保有していたステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)株を3月末でステラ本人に売却。6月にはトーマス・マイヤーのシグネチャーブランド「トーマス マイヤー」とのパートナーシップ契約を解消し、ブランドを休止することを明らかにし、クリストファー ケイン(CHRISTOPHER KANE)株をデザイナーのクリストファー本人に売却するための交渉を進めている。ラグジュアリーブランドの新規買収についてデュプレCFOは、「直近で買収の予定はなく、既存ブランドの拡張と各ブランドの戦略の実行を進める」とコメントした。同社は「ブシュロン(BOUCHERON)」や「ポメラート(POMELATO)」などのジュエリーブランドにも投資するという。