スウォッチ グループ(SWATCH GROUP)のニック・ハイエック(Nick Hayek)最高経営責任者 (CEO)が7月28日付けのスイスの地元紙「ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥング(Neue Zurcher Zeitung、以下NZZ)」のインタビューで、2019年3月開催予定のバーゼルワールド2019に出展しないことを表明した。時計・宝飾業界の関係者にとって1年の中で最も重要なイベント、世界最大の時計宝飾フェアの存続が危ぶまれている。同グループは、「オメガ(OMEGA)」や「ブレゲ(BREGUET)」「ブランパン(BLANCPAIN)」「グラスヒュッテ・オリジナル(GLASHUETTE ORIGINAL)」「ジャケ・ドロー(JAQUET DROZ)」「ロンジン(LONGINES)」「ラドー(RADO)」「ミドー(MIDO)」「ハミルトン(HAMILTON)」「ティソ(TISSOT)」「カルバン・クライン ウォッチ(CALVIN KLEIN WATCH)」の時計ブランドを出展する、フェアの中心的存在だった。
ハイエックCEOは出展中止の理由を、「SNS等のネットメディアの普及で、フェア出展にかつてのようなPR効果はなくなったから」などと述べている。
この撤退が、19年のバーゼルワールドに与える影響は計り知れない。なぜなら最近は「エルメス(HERMES)」や「ブライトリング(BREITLING)」のように、フェアへの出展中止や、出展先の変更を実施・検討する時計ブランドが少なくないからだ。スウォッチ グループの撤退だけでも、時計バイヤーやジャーナリストにとっての、フェアの魅力は半減する。運営会社MCHの運営方針次第では今後、同様の決断をする時計ブランドはかなりの数にのぼるだろう。最悪の場合、来年のバーゼルワールドは中止に追い込まれる可能性もありそうだ。
「バーゼルワールド」は、3月にスイス第2の都市バーゼルで開催されるフェア。「ロレックス(ROLEX)」「パテック フィリップ(PATEK PHILIPPE)」などの老舗ブランドから個人時計師まで多彩な時計ブランドが出展する。最盛期の出展ブランドは、1400強。今年は約650まで削減し、ラグジュアリー路線を模索していた。