ワコールは3日、デジタル技術を用いた新事業計画を発表した。2019年春に顧客のサイズや購買データなどを記録し、インタラクティブに交流できるパーソナライズアプリを導入する。売り場ではそれに対応した接客タブレットを用いて商品を検索したり、最適の商品を勧めたりする。独自の計測技術で最適なブラジャーのサイズを測定できる3Dボディスキャナーを導入し、通常5分かかる計測を5秒に短縮する。またインナーウエアの知識や販売員の応対などをインプットした接客AI(人工知能)を開発し、セルフ販売の拡大を促す。これらを導入した次世代型ショップを2019年春にオープンする。
同社は約25億円を投資し、顧客データや在庫データの一元化に取り組んできた。それをもとに、デジタルを駆使したオムニチャネルの本格的なサービスに乗り出す。京都で行われた会見に登壇したワコールの伊東知康・社長は「オムニチャネル戦略により、お客さまと“より深く、広く、長く”つながることを目指す」と強調した。
伊東社長は「オムニチャネル強化は、われわれの資産である国内2680店舗と3375人のビューティーアドバイザー、そして“ゆりかごからゆり椅子まで”という幅広い商品のラインアップを生かすための戦略だ。ゆくゆくは世界共通のインフラを整備することで、未来の接客や新たな商品開発につなげられれば」と話す。次世代型ショップの場所や大きさに関しては未定で、オムニチャネル戦略の実験店舗になる。
親会社ワコールホールディングスの塚本能交・会長は「日本全国を回り、現場の声を吸い上げて検証しながらもっと実りのある経営を目指したい。アウターと下着業界は分かれているが、歩み寄ることで新たな商品が生まれる可能性がある。お互いにプラスになる方法を模索したい」と述べた。
数日前、ネット通販モールの「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」を展開するスタートトゥデイがプライベートブランドの「ゾゾ(ZOZO)」でブラジャーの開発を始めると公表。「ユニクロ(UNIQLO)」など異業種の女性下着もシェアを拡大している。女性下着のリーディング企業であるワコールは、デジタル技術を用いた専門性の高いサービスで差別化を図る。