「トレンドというのは年単位をかけて作り上げるものだ。これが正しい方向性だと信じている」と語ったのはプラダ(PRADA)のカルロ・マッツィ(Carlo Mazzi)会長だ。プラダの2018年1~6月期決算は、売上高が前年同期比3.3%増の15億3530万ユーロ(約1980億円)、営業利益が同16.0%増の1億5920万ユーロ(約205億円)、純利益が同10.7%増の1億570万ユーロ(約136億円)と増収増益だった。パトリツィオ・ベルテッリ(Patrizio Bertelli)最高経営責任者(CEO)も上半期について「とても満足している」とコメントしている。
傘下ブランドの「プラダ」と「ミュウミュウ(MIU MIU)」の売上高は、それぞれ同4.0%増の12億3700万ユーロ(約1595億円)と同2.1%増の2億3500万ユーロ(約303億円)だった。「プラダ」の“ブラックナイロン”シリーズは好調に動いたという。依然として「プラダ」が全体売り上げの大部分を占めるが、マッツィ会長は「ミュウミュウ」の成長の可能性に言及。「今後も『ミュウミュウ』を成長させていけると自信を持って言えるし、現時点では損益分岐点にあるが、2~3年以内に8億ユーロ(約1032億円)を目指す」とコメントした。ほぼ全ての店舗で新コンセプトの青い内装へのリニューアルが完了しており、「新しいスタートだ」という。
地域別に見ると、同8.8%増、3億4400万ユーロ(約443億円)を売り上げた中国の成長が目立った。日本を含むアジア太平洋地域の約49%を中国だけで売り上げており、今後もさらなる成長を見込むという。日本は前年同期から横ばいの1億7100万ユーロ(約220億円)だが、内需が回復したという。
同社がプーチ(PUIG)とのフレグランスおよびビューティ事業を打ち切る可能性について決算会見で質問が出ると、マッツィ会長はライセンス契約の期限を18カ月で迎えると説明し、「プーチとも話をするし、他の企業とも話してあらゆる可能性を模索し、契約を更新するか、他と新たに契約を結ぶか考えたい。プーチとの関係は重要だが、解消したからといって致命傷になることはない」と、他社との契約の可能性も示唆した。
マッツィ会長は下半期(7~12月期)の目標として、顧客体験の質の向上や若年層獲得のためのデジタル戦略推進、販路の継続的な見直し、EC企業とのパートナーシップのさらなる強化を挙げた。