ロレアル(L’OREAL)は8月1日、「ロゴナ(LOGONA)」を擁するドイツのロゴコス ナトゥアコスメティクス(LOGOCOS NATURKOSMETIK)を買収した。買収額は明らかにしていない。また、温泉水や天然鉱泉水を使用した皮膚治療施設、ソシエテ デ テルム ドゥ ラ ロッシュ ポゼ(SOCIETE DES THERMES DE LA ROCHE-POSAY)の全株式を取得すると発表した。
ロゴコス ナトゥアコスメティクスは1978年に薬草療法士のハンス・ハンゼル(Hans Hansel)が設立したナチュラル化粧品のパイオニア企業で、ナチュラルブランド「ロゴナ」と「サンテ(SANTE)」を持つ。全ての製品の開発と生産をドイツで行い、自然の原料を使用した化粧品だけでなく、自然な植物の抽出方法や化学合成の防腐剤を使用しない保存方法など当時画期的だった技術を多く生み出した。現在本社はドイツ・ハノーバーに構え、2017年のヨーロッパにおける売上高は5900万ユーロ(約76億円)だった。
ロレアルはロゴコス ナトゥアコスメティクスを買収することにより、ビジネスのグローバル展開を加速させる狙いだ。ドイツ銀行のアナリスト、エヴァ・キオルガ(Eva Quiorga)は「ロレアルにとってロゴコス ナトゥアコスメティクスの買収は決して大規模な取引ではないが、ナチュラル市場は確実に成長している。(06年に買収したナチュラルブランドの)『サノフローレ(SANOFLORE)』もまだ成長余地がある。今後どのようにこれらナチュラルブランドを育てるかに期待が高まる」と評価。エバーコア(EVERCORE)のアナリスト、ハヴィエ・エスカラント(Javier Escalante)は「小さい企業だが、ナチュラル市場に進出しきれていないロレアルにとって、ロゴコスの買収はスマートな選択だ。過去にマス向けヘアケアブランド『ガルニエ(GARNIER)』でナチュラルラインを出したが、失敗に終わっているため、市場のポジションを取り戻せるかが鍵になってくる」と分析する。
また同1日にロレアルは、ソシエテ デ テルム ドゥ ラ ロッシュ ポゼの全株式の取得も発表した。同施設は1921年にヨーロッパ初の皮膚病治療のターマルステーション(温泉施設)として創業。フランス中西部のラ ロッシュ ポゼ村にあって、皮膚科医や精神科医、理学療法士、リラクゼーションセラピストによって皮膚の悩みに対するケアの総合的なプログラムを提供している。ヨーロッパ最大級の皮膚科学的ターマルセンターでもあり、設立から40万人以上が訪れている。17年には7500人以上が訪れ、売上高は360万ユーロ(約4億6400万円)だ。ロレアルは1989年に同施設のスキンケアビジネス「ラ ロッシュ ポゼ」を買収しているが、今回の買収で施設を旗艦店にする計画だ。なお同社は16年に、同じくターマルステーションであるソシエテ デ テルム ドゥ サンジェルヴェレバン(SOCIETE DES THERMES DE SAINT-GERVAIS-LES-BAINS)を傘下に収め、同施設のビューティブランド「サンジェルヴェ モンブラン(SAINT-GERVAIS MONT-BLANC)」とライセンス契約を締結した。