熊本県山鹿市で4日から、現代美術家のスプツニ子!の光るシルクを使った作品「トランスフローラ(TRANCE FLORA)」の新作を中心にしたシルクのイベント「シルク・オン・バレー(SILK on VALLEY)山鹿フェスティバル」がスタートする。熊本市中心部から北に車で1時間ほど上った山鹿市には世界初のスマート養蚕工場が昨年4月に竣工したばかり。
山鹿市内の「トランスフローラ」の設置会場の古民家を改装したギャラリースペース「天聽の蔵」では、前夜祭の一環としてスプツニ子!とドレスを制作した西陣織の細尾の細尾真孝・取締役、スマート養蚕工場を建設したあつまるホールディングスの島田俊郎・社長の3人によるトークイベントを行った。スプツニ子!は「最先端のテクノロジーであるゲノム編集技術の最前線と強く結びついているカイコは、アートの分野でも注目を集めている。スマート養蚕工場のあるこの山鹿市も、新しいシルク産業のメッカになる可能性を秘めていると思う」と語った。西陣織の技術を生かし、ラグジュアリー・ブランドの内装など新しいテキスタイル開発にも取り組む細尾取締役は、光るシルクを開発したカイコ研究機関の農研機構に触れ「農研機構ではこうした光るシルクを始め、鋼より強かったり、宇宙服にも使えるシルクを開発している。決して未来の話ではなく、この『トランスフローラ』の新作に使っている光るシルクも、テスト品ではなく農家が初めて量産した糸を使ったもの」と語った。
「トランスフローラ」は2015年に「グッチ」新宿店で展示された後に英ビクトリア&アルバート博物館(The Victoria and Albert Museum)で展示され、収蔵作品になっていた。「天聽の蔵」の作品は新作になる。展示は9月12日まで。