「マイケル・コース(MICHAEL KORS)」は、北京のラグジュアリー・モール、ケリーセンター(Kerry Centre)にオープンしたポップアップストアで、女優のヤン・ミー(Yang Mi)とコラボしたバッグを発売した。中国のバレンタインデーでもある旧暦の七夕の日、8月17日に合わせてヤン・ミーが「マイケル・コース」のバッグ“ウィットニー(Whitney)”を、スターとハート型のスタッズを施してデザインした。ポップアップストアには会場のある3階から1階までファンが列をなし、ヤン・ミーが姿を現した時には歓喜の悲鳴が上がった。
ミスターバッグ(Mr. Bag)と「トッズ(TOD’S)」のコラボバッグや、「リモワ(RIMOWA)」と「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のスーツケースなど、これまでブランドが中国でコラボ商品を販売する際はある程度の数を絞りSNSメッセンジャーのウィーチャット(微信、WeChat)経由で100個ほど発売するのが通常だった。
しかし今回の「マイケル・コース」の施策では、中国の女優とのコラボバッグでありながらグローバルに販売し、販売個数も中国全土の135店舗全て、そして1000以上ある中国国外の店舗にも供給できるだけの量を生産した。さらに、ウィーチャットのミニプログラムにコンテンポラリー・ラグジュアリーブランドとして初めて参加し、コラボバッグを発売した。ミニプログラムとは、ウィーチャット内で使うことのできるアプリで、ユーザーはウィーチャットさえあれば他のアプリをダウンロードする必要がなくなり、ブランドからすればローディング時間を短縮することでシームレスなショッピング体験を提供することができる機能だ。このミニプログラムが「マイケル・コース」の中国版ECサイトから自動的にデータを取り込むため、それぞれ更新しなくてもいいという。
中国信息通信研究院(China Academy of Information and Communications Technology)の調査によれば、約8億4000万ユーザーが利用しているウィーチャットを経由した食品、旅行、ショッピング、観光などのカテゴリーで売上高は3339億人民元(約5兆3500億円)だった。ウィーチャットは中国全体のモバイルトラフィックの34%を占めた。また、ウィーチャットの支払いツールも広く受け入れられており、昨年の18歳未満の使用率が97.3%、60歳以上においても使用率は46.7%だった。
「マイケル・コース」は中国市場でのデジタル施策を強化しており、17年9月に中国人旅行客にアピールすべく世界で免税店を手掛けるDFSグループとのコラボ・コレクションを発表した。同キャンペーンにヤン・ミーを起用し、アジアにおけるアンバサダーに任命した。11月には中国発のショートムービーSNS、Tik Tok(抖音、Douyin)でコンテンポラリー・ラグジュアリーブランドとして初めてキャンペーンを行っている。