ニューヨークを拠点とするファッションのサブスクリプションサービス企業、レント・ザ・ランウェイ(RENT THE RUNWAY)が、シンガポールを拠点とする投資会社テマセク ホールディングス(TEMASEK HOLDINGS以下、テマセク)から2億ドル(約222億円)の与信枠を確保した。これによりテマセクはレント・ザ・ランウェイの新株引受権を手にし、取締役会の監査役となった。
レント・ザ・ランウェイは、入会初年度は月159ドル(約1万7600円)で、「3.1フィリップ リム(3.1 PHILLIP LIM)」「アディアム(ADEAM)」「グッチ(GUCCI)」「マルニ(MARNI)」など450以上のブランドの中から好きなアイテムを4つまでレンタルできるというサービスを提供している。オケージョン用の服のレンタルからスタートした同社は、他のサブスクリプション系の競合サービスと比較すると比較的ハイエンドなマーケットを狙っているのが特徴だ。今回の調達金はサブスクリプションサービスの向上、物流管理事業の拡大、負債の借り換えなどに使うという。
レント・ザ・ランウェイの共同設立者のジェニファー・ハイマン(Jennifer Hyman)最高経営責任者(CEO)は「消費者の行動が著しく変化を遂げていく中で、服をレンタルするという習慣を普及させてきた。この資金は、全ての女性のクローゼットをクラウド化するという、われわれの目標達成のために使う」と語る。
9年前にビジネスを始めた当初は懐疑的な目で見られることもあったというが、今や同サービスはブランドにとっても有力なバイヤーの1つであり、新規顧客を獲得するツールにもなっている。レント・ザ・ランウェイの成功を受けてファッション企業が自社ブランドのサブスクリプションサービスをスタートし、「ザ・ブラック・タックス(THE BLACK TUX)」「グウィニー ビー(Gwynnie Bee)」「スタイル レンド(STYLE LEND)」などの新サービスが続々と登場した。
設立から9年が経ったレント・ザ・ランウェイだが、ハイマンCEOは以前、「レンタルビジネスはまだまだ始まったばかり。900万人もの顧客を抱える会社を作ったから言えることだけど、たった一つのアイデアから何十億ドルもの価値のビジネスを生み出すこともある」と語っていた。