ケリー・ハッシュ(Kellie Hush)=オーストラリア版「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」編集長は、セプテンバーイシュー(9月号)を最後に8月31日付で同職を退任すると明かした。6年にわたって務めた現職を離れた後は、自身のブランドを立ち上げるという。ユージェニー・ケリー(Eugenie Kelly)副編集長兼ビューティ&特集エディターが代理として編集長の仕事を引き継ぐ。
豪「ハーパーズ バザー」の出版社バウアー メディア(BAUER MEDIA)はハッシュ編集長の退任の事実を認め、6日に正式に声明を出すとしたものの、それ以上のコメントは得られなかった。
ハッシュ編集長は「私はアナ・ウィンター(Anna Wintour)じゃない。でも次のステップに進もうとしているという憶測が出始めているし、私も決断して6日に辞表を提出した。ユニークなファッションブランドを立ち上げたい。9月の広告予算も予想より13%増を達成しビジネスはうまくいっていた。ただ、自分の好きなタイミングで辞めたかった。これは個人的な決断だ」とコメントした。
また、ハッシュ編集長は新ブランドはラグジュアリーブランドではないこと、2017年1月にハッシュ編集長がオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities and Investments Commission)と立ち上げた企業、クリー(KLEEH)とは関係ないこと、詳細は今後2週間以内に発表することを明らかにした。
しかし、ハッシュ編集長は豪日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド(The Sydney Morning Herald)」には「『ハーパーズ バザー』は低俗な香りがしてはいけないラグジュアリー雑誌。この雑誌が『シャネル(CHANEL)』の“No.5”の香りがするうちに任期を終わらせたかった」とコメントしていた。また、昨今話題となっていたバウアー メディアが「ハーパーズ バザー」と「エル(ELLE)」の編集チームを合併させるという噂についても言及し「発行人のフィオレア・ディ・サント(Fiorella Di Santo)と話したが、現段階では『ハーパーズ バザー』と『エル』が合併する予定はない」と語っている。
バウアー メディアは、16年にパシフィック マガジン(PACIFIC MAGAZINES)とニュースライフメディア(NEWSLIFEMEDIA)というオーストラリアの2大出版社と共に、オーストラリア メディア監査委員会(Audited Media Association of Australia)の流通監査から脱退しているため、同社の近年の雑誌流通量は不明だ。
しかし、調査会社ロイ モーガン(ROY MOGAN)とイプソス(IPSOS)によれば、「ハーパーズ バザー」の雑誌の読者数は15年に前年比25.5%減、16年は同23.1%減で、17年は同21.8%増と持ち直したが、18年3月時点では同13.4%減の11万6000人となっている。一方でウェブサイトの読者数は18年3月時点で同50.7%増の33万9000人だ。
また、「エル」の雑誌の読者数は18年3月時点で同5.1%増の16万4000人で、ウェブサイトの読者数は同49.2%増の44万3000人だという。