有力セレクトショップに2018-19年秋冬のイチ押しデニム取材を行って見えた新潮流はリメイクジーンズだ。環境に配慮するだけでなく、単純に「コレ欲しい!」と思うものが多く、ファッションとサステイナビリティーを両立させるデニムブランドが増えていると感じた。
最もぐっときたのはロンハーマン(RON HERMAN)が提案するイーストロンドン発の「E.L.V. デニム(E.L.V. DENIM)」。サステイナブルファッションを信条に、デニムを再利用し洗練されたアイテムへと再生するというコンセプトで、ロンドンのNPOと組んで、無駄を出さず環境に配慮したリメイクデニムを提案する。一点モノではないが、オーダー時に色や丈を細かく指定できる。バイヤーの篠崎茜さんも「単なるリメイクではなく、作る過程でも節水するなど環境に配慮しています。シルエットもキレイ。また、デザイナーはまだ若く、その粗削りな部分も魅力」と話していた。
トゥモローランド(TOMORROWLAND)が推す「ビーサイズ(B SIDES)」は、ニューヨーク・ブルックリンのウィリアムズバーグ発のリメイクブランドだ。16年12月26日号の「WWDジャパン」でも紹介したことがあるが、「リーバイス(LIVIS)」“501”のビンテージを中心に、メーン州やコロラド州の個人コレクターからビンテージデニムを手に入れてリメイクしている。デザインはブルックリンのスタジオ、加工はニューヨークで行い、ローカルメードにこだわりサステイナブル。デニムは時間とともに味が出る最もサステイナブルな素材の一つで、リメイクすることでさらに50年着続けられるアイテムにしたいという思いがある。
バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)はロサンゼルス発の「アトリエ & リペアーズ(ATELIER&REPAIRS)」を大きく打ち出す。このブランドは、余剰生産物をなくすことを目標にリーバイスやラルフ・ローレン(RALPH LAURENT)で要職を経験したマウリツィオ・ドナディ(Maurizio Donadi)が設立。現在750万tの余剰生地が廃棄され、米国では1年で1人あたり30kgの洋服が処分されているという。そんな処分されるデッドストックの生地や古着などに刺しゅうを施し、再構築した一点モノのアイテムを提案する。
いずれのジーンズも3万~5万円程度とジーンズとしては高額だ。一方で、ロンハーマンを中心に、他にはない特別なモノや一点モノを求める顧客が増えているという話も聞く。そういった意味でもリメイクジーンズに商機はありそうだ。詳しくは「WWDジャパン」8月6日号のデニム特集で紹介している。