ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)の回顧展「ヴァージル・アブロー:フィギュアズ オブ スピーチ(Virgil Abloh: Figures of Speech)」が、2019年6月8日から9月下旬まで米シカゴ現代美術館(The Museum of Contemporary Art, Chicago)で開催される。
同展覧会のために2年にわたって準備を進めてきたシカゴ現代美術館のマイケル・ダーリン(Michael Darling)チーフ・キュレーターは、「僕もヴァージルも展覧会のタイトルをすごく気に入っている。彼の作品には多くの言葉が使われている。身の回りの言葉を引用符で囲み、そのものの意味を問うているんだ。ヴァージルの服を着ると、彼の作品を身をもって体現するようになる。展覧会ではマネキンに着せるがこれは文字通り、語る(Speech)身体(Figure)になる」と説明する。
シカゴ現代美術館はこれまでデヴィッド・ボウイ(David Bowie)やコンテンポラリー・ダンサーのマース・カニンガム(Merce Cunningham)ら、1つの分野にとらわれない創造性を持つ人物の回顧展を開催してきた。「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」クリエイティブ・ディレクターと「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズ・アーティスティック・ディレクターを務めるデザイナーとして、さらにはDJとしても活躍するヴァージルは、「そんな次の回顧展にぴったりの人物だったし、さまざまな領域で枠を超えて活躍している。それに彼はシカゴで生まれ育ちながら、世界のファッションやデザインシーンを照らしている」とダーリン=チーフ・キュレーターは語る。
回顧展は、ヴァージルがカニエ・ウェスト(Kanye West)のクリエイティブ・エージェンシーのドンダ(DONDA)や、動画プロジェクトとしてスタートした「パイレックス ヴィジョン(PYREX VISION)」、ヘロン・プレストン(Heron Preston)らと立ち上げたアート集団ビーントリル(BEEN TRILL)などで働いていた時から現在までのキャリアを追う展開で構成される。そのうち、半分か4分の3はファッションについての展示になるという。
「ヴァージルはファッションが現代カルチャーの中心になっていることを教えてくれた。ファッションは自己表現の方法だし、アート、音楽、デザインもファッションの領域に流れ込んでいる。『オフ-ホワイト』のウィメンズとメンズのコレクションをはじめ、『イケア(IKEA)』とのコラボも含むインテリアや建築プロジェクト、それからまだ確定はしていないが『ルイ・ヴィトン』のコレクションや『ナイキ(NIKE)』とのコラボも展示したい。彼の関心のあるファインアートや絵画、彫刻も取り扱いたいね」とダーリン=チーフ・キュレーター。音楽については「彼がミュージシャンのために手掛けたグラフィックデザインや、ミュージシャンが着用した彼の服を展示するつもりだ。ファッションショーの映像を流したり、音楽で満ちた空間にしたい」と語った。
シカゴで展示後、同展覧会はアメリカの他都市や世界を巡回する予定だという。