タンパク質やカルシウム、鉄分、ビタミン、β-カロテンなど、90種類以上の栄養素を含み、“奇跡の木”といわれる北インド原産の植物モリンガが盛り上がりを見せている。もともとは美と健康を支えるスーパーフードとして海外セレブのSNSから火がついたが、抹茶に近い風味が日本人の口に合いさまざまなメニューに取り入れやすいことが、裾野を広げている要因のようだ。
今年5月に東京・赤坂見附にオープンしたダイニングバー「ごほうび和食 カケル」は、気温が30度以上になる真夏日限定のメニュー「モリンガかき氷」(960円)を9月末まで提供している。ふわふわとした氷の上にモリンガパウダーを使った“モリンガシロップ”をかけ、甘さを控えめにした小豆あんとモリンガパウダーを練り込んだ白玉、店の特徴のひとつである日本酒にちなんだ、酒粕を混ぜた練乳が添えられている。
モリンガが抹茶のような味わいということもあり、小豆あんや白玉とマッチし和風の味わいだ。酒粕のコクが加わった練乳をかけると、味に奥深さが出る。また、豊富な栄養素の他アルブチンなどの美容成分を含み健康&美容効果に注目が集まる酒粕と、モリンガの栄養素の二重効果で、夏バテ予防にも最適だ。店舗では、暑い夏に涼と栄養を取るスーパーフードスイーツとしてはもちろんのこと、飲んだ後の締めとして男性客からも人気だ。
同メニューをプロデュースしたのは、モリンガのパウダーを販売しているネオベジの小嶋ともこ代表。これまでにも野菜ケーキ専門店「パティスリー ポタジエ」のヘルシーケーキ、自由が丘のベーグル老舗ブランド「ジュノエスクベーグル」のモリンガベーグルなどで使用されてきたが、今年3月頃からモリンガの認知度が一般にも浸透し、タッグを組む企業が増えてきたという。「一部の意識が高い人だけじゃなく、幅広い世代に取り入れてほしい」という小嶋代表の狙いもあってコラボ対象フードはスイーツやパンにとどまらず、焼肉屋「焼きち すぅーさん」ではモリンガを加えた「モリンガ酎ハイ」(630円)を、鶏と野菜のポタージュスープのラーメン店「鶏ポタTHANK」では、季節限定の「冷製トマトスープとモリンガ麺」(926円)などの、変わりダネも登場している。
その他、6月には大手では日清食品が「奇跡のモリンガ青汁」(30袋入り、 4600円)を、香川県で飲食店を運営するEMAZY WORKSとナチュラルフードの開発・販売を行うNature’s Chest Japanは7月から讃岐うどんにモリンガを練りこんだ「森の饂飩」(2人前つゆ入り、800円)を販売し好調だ。一般的に、パウダー状はドリンクに入れたりヨーグルトやアイスクリームにかけたりとさまざまな使い方ができる点が魅力で、今後は消費者発信のオリジナルモリンガメニューが生まれるかもしれない。