世界最大のニット企業コバルト・ファッション(COBALT FASHION)はこのほど、日本の島精機製作所をパートナーに、ニット製品のR&Dセンター「CSイノベーションラボ(CS Innovation Lab)」を香港の本社オフィス内に開設した。コバルト・ファッションは、世界最大の衣料品サプライヤーでデジタルSCM(=サプライチェーン・マネジメント、企画から生産、物流、販売までの商流を最適化すること)改革を掲げる香港の繊維商社リー&フォン(LI & FUNG)が55%、大手ニット企業のサウスオーシャン・ニッターズ(SOUTH OCEAN KNITTERS)が45%を出資する合弁会社で、両社はニット事業を統合している。現在7億ドル(約777億円)を投じ世界最大のニット工場の建設を進めており、いずれもニットウエアの世界有数の企業がタッグを組む形になる。ニットウエアはこの数年で劇的な生産革命が発生する可能性が出てきた。
CSイノベーションラボ内には、島精機の3Dグラフィックでニットウエアをデザインできるソフトウエア「SDS-ONE APEXⅢ」やサンプル生産のための編み機数台を設置している。現在建設を進めている量産工場への無縫製ニット機「ホールガーメント」の導入について、島精機の広報担当者は「取引先のことについてはコメントできない」と語った。
コバルト・ファッションのレオン・ワイピン(Leung Wai Ping)最高経営責任者は「島精機という強力なテクノロジーパートナーを得たことで、ニット業界を革新し、再定義することをより推進できる」とコメント。リー&フォンは現在、経営の最重要課題としてデジタル生産システムの確立を掲げており、コバルト・ファッションの工場にも島精機の「ホールガーメント」が大量導入される可能性がある。