ナイキ(NIKE)の従業員だったケリー・ケイヒル(Kelly Cahill)とサラ・ジョンストン(Sara Johnston)の2人は9日、賃金の額に男女で差があったとオレゴン州連邦裁判所に訴えを提起した。今後、クラスアクション(集団訴訟)に発展する可能性もある。
訴状には、「役職が上がるにつれて女性の登用率は下がり、女性がナイキで上を目指すのは難しい。ナイキは男性よりも女性に対する評価基準が厳しく、男性が処罰の対象になることはまれだ。女性の方が給与やボーナスの額も低く、ストックオプションの株数も少ない。女性が人事部に差別やセクハラを含むあらゆるハラスメントについて訴え出ても、無視されるか、不適切な対応がなされる」と記載されている。
これに対してナイキのスポークスウーマンは、「当社はいかなる差別にも反対の立場を示し、昔からダイバーシティを推進してきた。多くの従業員は当社の価値観を理解して働き、互いに敬意を払って働いている」と主張する。
訴えを提起したジョンストンはナイキに10年務めた後、同社が平等な雇用環境を提供しなかったことを理由に2017年に退社。ジョンストンよりも高い役職の男性従業員2人が後任として業務に当たっているという。このため、退社時の年収は7万5000ドル(約825万円)だったが、自身が負っていた責任や業務内容は8万5000~13万5000ドル(約935万~1485万円)に相当すると主張する。
さらにジョンストンは自分を評価する立場にある男性社員からセクシャルハラスメントを受けたと訴える。訴状によると、この男性社員からヌード写真を送りつけられ、ジョンストンが拒絶したところ不当な扱いを受けたと主張する。また、この件を上司に報告したところ、ディレクターの1人から「ナイキにはアルコールを摂取するカルチャーがあり、インターネットや携帯電話の普及に伴い酔った勢いのメッセージが増えることは仕方がない。こういったメッセージに敏感になりすぎないようにすべきだし、みんながこういったメッセージの量が増えることを理解すべきだ」という回答があったという。
同社は3月に「ナイキ」ブランドのプレジデントを務めていたトレバー・エドワーズ(Trevor Edwards)の辞任を発表。その後5月にも4人の幹部の退任を発表しており、いずれも女性に対するセクシュアルハラスメントが原因と見られている。