オンライン上で服とストールのマスカスタマイズのサービスを展開する米ヴィダ(Vida & Co.)が、オランダのネット印刷大手のシンプレス(Cimpress)から2900万ドル(約31億9000万円)を調達した。ナスダック市場に上場しオランダに本部を置くシンプレスは、ネット印刷を中心に250億ドル(約2兆7500億円)のマスカスタマイズビジネスを手掛けており、出資によりヴィダの過半数の株式を取得する。ヴィダの創業者ウマイマー・メンドロ(Umaimah Mendhro)最高経営責任者(CEO)と彼女が率いる経営チームは引き続き経営の指揮を執る。
ロバート・ケイン(Robert Keane)=シンプレス創業者兼CEOは「ヴィダに出資するのは彼らのアプローチが、マスカスタマイゼーションを通じて既存のリテールマーケットに革新的かつ急速な影響を及ぼすものであるためだ」とコメントした。サンフランシスコに拠点を置く2014年創業のヴィダは、グーグルのベンチャーキャピタル(VC)であるグーグル・ベンチャーズ(Google Ventures)や有力なVCとして知られるYコンビネーター(Y Combinator)からも出資を受けるなど、マスカスタマイズ系のスタートアップとして注目を集める存在だった。最近では大手百貨店のロード&テイラー(Lord & Taylor)とコラボレーションし、“着用できるアート”をコンセプトにアクセサリーなどを販売していた。
また、ヴィダはカスタムプリントされたカシミヤのスカーフから3Dプリントのジュエリーまで、グローバル規模のサプライチェーン(原料の生産から流通、物流までを含むネットワークのこと)に加え、教育とエンパワーメントプログラムを通じた生産地支援でも知られてきた。
メンドロ創業者兼CEOは「生産する前に需要の見通しを立てて生産する、という従来型のリテールビジネスは壊れつつある」と語り、ユニークな製品に対するクリエイティブなコミュニティーと需要が世界規模で急拡大しているとも指摘する。ヴィダはシンプレスのノウハウとテクノロジーを活用することで、さらなる成長の足掛かりを得る。