「ニューバランス(NEW BALANCE)は、2023年までに世界での売上高70億ドル(約7700億円)を目指す」と、ロブ・デマルティーニ(Rob DeMartini)最高経営責任者(CEO)が宣言した。ニューバランスは非上場企業であるために決算を開示していないが、「07年の売上高は15億ドル(約1650億円)で、そこから毎年10%ずつ伸びており、18年度の売上高は45億ドル(約4950億円)を見込む。現在われわれのマーケットシェアは4%。この調子で成長を続けていけば5年後には売上高70億ドル(約7700億円)に到達できる。簡単なことではないが、そこを目指す」と語った。
ニューバランスは現在世界に約7000人の従業員を抱える。アメリカでは300店舗以上、中国では3000店舗近く、他のアジア地域、ラテンアメリカ地域、ヨーロッパ地域に900店舗を構える。生産拠点はアメリカに5カ所、イギリスのフリンビーに1カ所を構える。1980〜90年に築いたアメリカ、日本、ヨーロッパの卸ビジネスが売り上げの多くを占める。
デマルティーニCEOによれば、売上高70億ドル(約7700億円)を達成すべく、パフォーマンス(競技用)、アパレル、ウィメンズのカテゴリーを強化するという。地域別では、本社があるアメリカの次に大きな市場である日本市場が成長のカギだ。
まずパフォーマンスについては、これまでさまざまな企業やブランドとコラボを行ってきたが、「コラボの数を過去2年間で減らしてきた。質とパフォーマンスに投資することに集中する」とジェフ・マクアダムス(Jeff McAdams)=インターナショナル・マーケティング・ディレクターは語る。
アパレルについては、J.クルー(J. CREW)やブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)で経験を積んだディアドリ・フィッツジェラルド(Deirdre Fitzgerald)を筆頭としてアパレル部署を新たに組織した。過去7年でアパレルの売上高は5倍に跳ね上がっているという。
ウィメンズについてマクアダムス=インターナショナル・マーケティング・ディレクターは「女性ランナーを惹きつけることが、今後5年間で中心となる仕事だ」と語る。ニューバランスの顧客の男女比はこれまでは7対3だったが、現在は5対5となっている。
また、日本市場がこれまでのニューバランスの成長を支えてきた。「日本にはニューバランス初の現地法人があり、30年間2番目に大きな市場であり続けてきた。東京にはボストン本社のパフォーマンスセンターと同じように、トレンド商品を製作するデザインスタジオがある。このデザインスタジオは日本だけでなく、世界市場のための商品を製作している」とデマルティーニCEOは語る。日本ではパフォーマンスよりもライフスタイルのカテゴリーが強いが、ニューバランスは「名古屋国際ウィメンズマラソン」のスポンサーを務めた他、20年の東京オリンピックに向けて、日本のランナーから多く支持を集めるシューズ職人、三村仁司と1月に5年間のグローバル・パートナーシップ契約を締結した。三村はニューバランスの専属アドバイザーに就任し、世界のトップアスリートに向けたシューズ制作に打ち込むなど、パフォーマンスカテゴリーの強化に努めている。