世界中のスタイリッシュな商品をキュレーション機能で紹介するソーシャルコマースの「ファンシー・ドットコム(FANCY.com以下、ファンシー)」が、ニューヨーク・ソーホー地区に約232平方メートルの実店舗をオープンした。アートギャラリーのような店舗には、日本人アーティストによる手作りのリリックスピーカーや2万5000ドル(約275万円)の“アビステーブル(THE ABYSS TABLE)”のほか、「プレイ・コム デ ギャルソン(PLAY COMME DES GARCONS)」「シーバイクロエ(SEE BY CHLOE)」「マラホフマン(MARA HOFFMAN)」などをラインアップする。支払いはファンシーのアプリなどを利用するキャッシュレス決済のみ。過去にデザイナーやアスリート、インフルエンサーとのコラボでポップアップストアを出店しているが、今回は恒常的に運営していくという。
ジョセフ・アインホーン(Joseph Einhorn)創業者兼最高経営責任者(CEO)は「特にファッションにおいては、マルチブランドこそファンシーの軸となるコンセプトだ」と言う。「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」などのブランドを擁するケリング(KERING)が長年ファンシーに投資しており、フランソワ・アンリ・ピノー(Francois Henri Pinault)=ケリング会長兼CEOがファンシーの取締役会メンバーであることに触れながら「ケリングはマルチブランド経営を非常にうまくやっている」とコメントし「世界はさまざまなタレントにあふれている。セレクションの幅をもっと広げ、まだ世に知られていないタレントを発掘していきたい」と語った。
同社はスニーカーの品ぞろえも充実している。伊フットボールクラブ「ASローマ(AS ROMA)」とコラボした「ナイキ(NIKE)」スニーカーはファンシーだけで購入できる限定品だ。「ASローマ」のチームカラーやシンボルを取り入れた“エア ジョーダン 1(AIR JORDAN 1)” “エア マックス 1(AIR MAX 1)” “エア フォース 1(AIR FORCE 1)”を1200ドル(約13万2000円)で販売している。
数年前にマーケットプレイス型に切り替えたファンシーだが、その強みは「最新鋭のEC体験」だという。これまでもアップル(APPLE)、グーグル(GOOGLE)、フェイスブック(FACEBOOK)、ツイッター(TWITTER)などと連携してビジネスを構築してきた。これからも常に時代の先を行くテクノロジーを駆使したサービスを取引先や消費者に提供していくという。