フランステニス協会(FFT)は来年以降、全仏オープンにおいて全身をおおうタイプのウエアについての着用を禁止する方針を明らかにした。
これは今年5月の全仏オープン時に、元世界ランキング1位の米女子プロテニス選手セリーナ・ウィリアムズ(Serena Williams)が着用していた全身真っ黒のピタッとしたスーツ(通称キャットスーツ)に対する決定だ。キャットスーツは映画「Black Panther」の登場キャラクターを想起させると世界中で話題になっていたが、FFTは同ウエアについて「コート上の選手が着用するウエアとしてふさわしくない」と発表。ベルナール・ジウディセリ(Bernard Giudicelli)FFT会長も「テニス選手として、大会と神聖なコートに対し敬意を払うべきだ」と述べ、ウィンブルドン選手権と同様にドレスコードを設けることも示唆した(ウィンブルドン選手権はオールホワイトのドレスコードを設けている)。
だが同キャットスーツは、出産による実戦からの長期離脱と、血栓症で苦しむセリーナのためにナイキ(NIKE)が手掛けた全身に圧力をかけることで血液の循環を促すウエアで、セリーナは「FFTが(ウエアの着用理由が)健康上によるものだと知っていたのであれば、このようなことにならなかったと思う」とコメント。しかし続けて「タイツだったり、他のウエアを着用する方法を考える。(規律違反の)常習犯にはなりたくないからね」とユーモアを交え、FFTの決定について理解していると述べた。
一連の騒動を受けナイキはツイッターで、「彼女からスーパーヒーローのコスチュームを奪っても、彼女自身の持つスーパーパワーは奪えないさ。#justdoit(You can take the superhero out of her costume, but you can never take away her superpowers. #justdoit)」とウィットに富んだ反応をみせ、同ツイートは11万以上もリツイートされている。
セリーナは、1981年アメリカ・ミシガン州生まれ。5人姉妹の末娘で、幼少の頃から1つ上の4女ビーナス・ウィリアムズ(Venus Williams)と共に早くからテニス選手としての素質を見せ、99年に17歳の若さで4大大会初優勝を達成。これまでに4大大会のシングルスで23回の優勝を誇り、ダブルスでもビーナスと共に14回の優勝を経験し、男女を通じてシングルスとダブルスでキャリア・ゴールデンスラム(4大大会およびオリンピック優勝)を達成したただ1人の選手である。また、今月発表されたヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)とナイキによるテニス・コレクション“The Queen Collection”のミューズにも選ばれている。