今気になる言葉“ユース”
パリコレがザワついています。明らかに新しい流れが始まっています。「ヴェトモンVETEMENTS)」がその先鞭を切っていますが、他にも気になるネクスト・ブランドが出てきており、特に初日が面白いです。
「コーシェ」はリリース代わりにZINEが配られました
特に「コーシェ(KOCHE)」のショーにグッと来ました。会場は、インド系やアラブ系の店が集まる生活感溢れるの商店街です。オールスタンディングで人垣でランウエイを作ります。私が立ったのはインド系の床屋の前で、ハサミを手にした床屋さんがお客さんの髪を切りながら外の様子を気にしていました。
音楽が鳴り、雑踏をモデルが速足で歩き抜けると、会場には高揚感が生まれ、景色が一変。人種も背格好もバラバラなモデルがクチュールワークを駆使した服を着て登場しました。終わって会場を出るとバックステージに向かって公道を歩くモデルたちに、パンケーキの屋台のおじさんが「無料にするよ!持っていきな!」と声をかけたりしていて、地に足が着いたハッピー感満載です。
そんな「コーシェ」を始めとする初日のショーの詳細は、下記からどうぞ。ここ数年、若手デザイナーを追いかけてきた薮野記者がリポートします。
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初日組と言えば「アンリアレイジ(ANREALAGE)」。今回も面白い仕掛けで観客を引き込みました。会場入り口で英語を話す若い女性が友人に向かって「『アンリアレイジ』のショーが一番好き。前回は携帯を使ってね〜」と一生懸命説明をしていました。パリの街に「アンリアレイジ」が馴染んできてその存在が当たり前になってきています。
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READ MORE 1 / 1 「LVMHアワード」から感じたこと
アナ・ウインターと坂部さん。合同展のように一ブランドずつブースを設けた会場を審査員やジャーナリストが見て回ります
初日の盛り上がりに一役を買っているのが「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ」です。既報の通り、今回は日本人デザイナーが4人もノミネートされ、2日目に公開審査会が開かれました。会場内は、審査員であるカール・ラガーフェルドやリカルド・ティッシ、ジョナサン・アンダーソンなど、ファッション業界有名人でごった返しすごいことに。
左から、「アアルト」の服、いいです。猫背でポツンと座るモデルが気になりました
パリコレ初日組の「コーシェ」「アアルト(AALTO)」「Y/プロジェクト(Y PROJECT)」は、同プライズのセミファイナリストという“お墨付き”が集客につながっていることは、確実です。
今回の「LVMHアワード」は一言で言うと、めちゃくちゃ若い。会場を出てから頭から離れないのが「ユース」という言葉でした。
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業界の未来を担う実年齢での若さ、もそうですが、業界の大人たちが今探しているのは、既存のファッションシステムを引っ掻き回してくれるような強く個性的な存在。クリエイションとビジネスの両輪があってこそのファッションですが、最近はビジネスに傾き過ぎている。そう自覚している業界人は、自分がこの世界に飛び込んだ時の情熱を呼び覚ましてくれるクリエイティブな存在や、次なるムーブメントの起爆剤となるクリエイティビティーを求めているのだと思います。
「ジャックムス」のストラップが浮かび上がる服
初日の「ジャックムス」のショーの後、ストラップが浮かび上がった服を評して弊紙の若手記者が「重力に逆らっている」と言ったのが的を得ていました。重力に逆らい続けるって大変。お肌的にも(笑)。「ジャックムス」に見る永遠の少年・少女性はそんな大人たちの心にも刺さるのです。
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