オンライン購入後の顧客サポートと配送トラッキングサービスを提供する米スタートアップ企業ナーバー(NARVAR)が、3000万ドル(約33億円)の資金を調達した。同社は2012年の設立以来、合計6400万ドル(約70億4000万円)の資金を調達している。
昨年、ナーバーの業績は大きく飛躍した。売上高が倍増し、従業員数も倍増した他、コストコ(COSTCO)、ルルレモン(LULULEMON)など100以上の新たな取引先を獲得した。現在の取引社数は500を超え、アパレル、ビューティ産業ではパタゴニア(PATAGONIA)、ギャップ(GAP)、リーバイス(LEVI’S)、ニーマン・マーカス(NEIMAN MARCUS)、グロッシアー(GLOSSIER)、セフォラ(SEPHORA)などが名を連ねる。
アミット・シャルマ(Amit Sharma)創業者兼最高経営責任者のモットーは“消費者の日常をシンプルに”だ。「ブランドロイヤルティーを高めるには、購入後の消費者との関係構築に大きなチャンスがある。当社はこの観点から小売企業をサポートしており、その規模は3億人を超える。当社の取引先を通して、米国の成人オンライン購入者の70%以上が当社のサービスを利用したことがある」と語った。また「モノよりコト」重視の消費志向は今後も続く傾向にあり、製品や価格よりもブランドが提供する体験が差別化のポイントになると見ている。
ECでは、配達通知、注文品の追跡、カスタマーサポート、返品や交換の手続きなどのサービスレベルの良し悪しでブランドのロイヤルティーが決まることがある。アマゾン(AMAZON)は配送や返品などの手続きが簡単な点でも、他社の追随を許していない。小売業者は、製品購入のサービスを顧客がどう評価しているか理解することで、マーケティングや在庫管理などのビジネス構築に活かせるだろう。
ナーバーはEC上のプラットフォームだが、オンラインとオフラインを結ぶサービスや、スマートフォンのスピーカー用のボイスアプリケーションの開発も考えている。潤沢な資金を武器に、テクノロジー開発と人員増強に投資し、アジアやヨーロッパへのビジネス拡大も視野に入れている。
もちろんナーバーだけがこの分野を得意とする企業ではない。オプトロ(OPTORO)、 グランド・キャナルス(GRANDCANALS)、アフターシップ(AFTERSHIP)などの台頭も目立つ。ECの成長がとどまるところを知らない現状では、購入後のサポートサービスはEC制覇に欠かせない分野になっている。