現役高校生の山内奏人ワンファイナンシャル最高経営責任者(CEO)が6月にローンチして話題となったレシート買取サービス「ワン(ONE)」が大幅なアップデートを行う。当初はどんなレシートでも1ユーザーあたり1日10枚(100円)まで撮影をするだけで現金に変えられるアプリで、ワンファイナンシャルとしては買い取ったデータを活用したデータビジネスによって収益をあげる仕組みを想定していた。
しかし、リリース後16時間でダウンロード数が7万、買い取りレシート総数は24万枚を突破。想定以上のサーバーに負荷がかかったことで、ローンチ当日の夜には一時サービス中断を余儀なくされた。買い取り再開後は、買い取るレシートを限定し、レシートによって買取金額も異なる形にするなど、データを求めるクライアントに出稿してもらう形で、特定のレシートを集め、得られたデータを提供する“広告モデル”に刷新していた。
今回、ここに新たな機能として加わるのは、ユーザーが買い取りで得たお金の新しい使い方だ。これまではお金が溜まった後、ユーザーは出金手数料200円を払って全国の金融機関から出金するしかお金の活用方法がなかったが、多数の企業のクーポンをアプリ内に用意し、買い取りで得た資金をアプリ内や店頭でモノを購入する際に利用できる仕組みを整えた。「ユーザーとしては買い取りによって少額の資金が貯まったとしても、実際は使い道がなかった。当初は“少額ずつでもお金を貯めてもらえたら”という考えだったが、“少額でもいいから使ってもらおう”という考えに変わった。これまで手数料などでなかなか少額では使い道がなかったお金をどんどん使ってほしい」と山内CEO。
まずはコカコーラ、サーティワン アイスクリームなどと組むが、アプリを通じた企業への送客に応じてワンファイナンシャルには収入が入る。これによって、データ収集においても、ユーザーの資金運用においても、健全な形で収益をあげられるビジネスモデルに近づいた。「ユーザー数は数十万人と順調に伸びており、ある程度ビジネスが回る体制も整ってきた。ぼくたちは情報を貯めて運用する“情報銀行”を目指したい。情報を運用して生まれたお金をきちんとユーザーに還元し、ユーザーがそのお金を自由に使える流れを作りたい」。
今後は“少額でもいいから使う”という考えを応用し、少額の募金を受け付けるサービスなども検討する。「1円でもいいから募金することに意味がある。1人が10億円を払うことと1円を10億人から集めるのでは意味が違う。こうした少額寄付の経済圏のようなものを作っていきたい」。