8月3日にリリースした最新アルバム「Swimming」収録曲の「Ladders」。曲調はアップテンポだが「いまはトップに登っていて気持ちがいいけど、ひとたびこのハシゴから落ちると真っ逆さまさ」と歌詞には暗さがみえる
若き人気ラッパー、マック・ミラー(Mac Miller)ことマルコム・マコーミック(Malcolm McCormick)が、9月7日(現地時間)に死去した。死因は薬物の過剰摂取(オーバードーズ)とみられ、遺体は米ロサンゼルスにあるミラーの自宅を訪れた友人が発見した。26歳だった。これを受けミラーの家族は、「ファンの方にはマック・ミラーで知られるマルコム・マコーミックは、残念ながら26歳で亡くなりました。彼はこの世界を明るく照らす光で、家族、友人、ファンの方と共にありました。みなさんの祈りに感謝します。死因については明らかになっていません」と声明を発表している。
ミラーは1993年ペンシルベニア州ピッツバーグ出身。幼い頃から音楽制作に取り組み、15歳の時に初となるミックステープをリリース。今では一般的となった「サウンドクラウド(SoundCloud)」をはじめとした音楽ストリーミングサービスなどで直接音源を公開するなどの活動を早くから行っており、19歳で発表したデビューアルバム「Blue Slide Park」が全米アルバムチャートで初登場1位を記録し、一躍その名を広めた。一方で14年に発表したアルバム「Faces」でドラッグやうつ病に苦しんでいることを歌っていた他、8月3日にリリースした最新アルバム「Swimming」でもアルコール依存についての描写があるなど、生涯を通じて精神的に不安定だった。2016年から今年5月までの約2年間交際していた歌手のアリアナ・グランデ(Ariana Grande)との破局も、ミラーのたび重なるアルコールやドラッグへの依存が原因だったという。
エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)やファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)、ヴィンス・ステープルズ(Vince Staples)、リル・ヨッティ(Lil Yachty)、メイドインTYO(Madeintyo)、アミーネ(Amine)ら生前交流のあったラッパーはもちろん、ヘロン・プレストン(Heron Preston)やパリス・ヒルトン(Paris Hilton)ら業界の垣根を超えた人々からも悲しみの声が相次いでおり、G・イージー(G-Eazy)は「君がいなくなっても君の音楽は何百万人もの人々の心に永遠に生き続けるよ。愛してる」とコメント。チャンス・ザ・ラッパー(Chance The Rapper)も「俺がキャリアをスタートする時、君は手を差し伸べてくれただけじゃなく、俺が知る限りで一番優しいヤツだった。すごい男だった。心から愛していた。いま、胸が張り裂ける思いだよ。冥福を祈る」とツイッターに思いを綴った。また、アリアナもインスタグラムにミラーのモノクロの写真を無言で投稿しており、追悼の意を表明している。