中国最大手EC企業アリババ(ALIBABA)は10日、ジャック・マー(Jack Ma)共同創業者兼会長が退任し、ダニエル・チャン(Daniel Zhang)最高経営責任者(CEO)を会長に任命すると発表した。マー氏はアリババの創業20周年に当たる来年9月10日までエグゼクティブ・チェアマン(EC)としてチャンCEOへの引継ぎを行い、2020年の株主総会まで取締役会メンバーとして在籍する予定だ。その後はアリババの終身パートナーとしてパートナーシップ・コミッティー・メンバーになるという。
マー氏は自身の退任を「新たな時代の始まり」とし、今後は自身が最も意欲を持つ教育分野に力を注ぐという。同氏は13年にCEOを退任しており、アリババのさらなる発展を見据え、次世代の後継者育成に力を入れていた。
同社は、マー氏からアリババの顧客、従業員、株主に宛てた手紙を公開した。その手紙の中で同氏は、関係者のこれまでのアリババへの信頼やサポートに深い感謝の念を示すと共に、アリババは今や安定した組織であり、理念を持つ企業として従業員の育成に常に力を入れてきたことで、個人の力に頼らずとも舵を切れる企業体になったとしている。また、同社が1999年の創業時に掲げた“3世紀をまたぐ企業”として102年後の2101年まで続く世界に誇る企業になるという目標は、1人の人間だけでは成しえないことであり、長期的に成長可能な経営システムの構築について10年前から構想していたという。13年にCEOに就任したチャン新会長についても「11年間リーダーシップを持ってアリババを率いてきたことを高く評価している」とし、自身が育成してきたチャン会長をはじめとする若手の経営層に全幅の信頼を持ってビジネスを任せると語っている。
また、組織の安定した長期的な成長には、個人の裁量に頼りすぎたり、システムを盲目的に信じたりせず、システム、人、企業文化が相互に良いバランスを保つことが必要だという。そして “どこにいてもビジネスをできるようにする”という同社の使命については、世界中の中小企業や若者、女性をサポートすることに真剣に取り組んでいるが、その達成にはより多くの人々の協力が必要だと訴えている。手紙の最後は、「全ての人に約束するが、アリババはジャック・マーのものではないが、ジャック・マーは永遠にアリババのものだ」という言葉で結んだ。