ベイクルーズは20代女性に向けた新ブランド「シャルル シャトン(CHARLES CHATON)」を12日、自社ECと「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」で発売する。22日からは2日間限定のショールーミングストアを東京・表参道にオープン。価格帯は1万円前後で、当面はECのみでの展開という。手掛けるのは社内では異色の“原宿系女子”、中村美由紀。積極的にユーザーの意見を商品に反映させたり、若手クリエイターと手を組んだりと、「みんなで作っていく」ブランドにしたいと意気込む。
原宿系ファッションを好む中村は、きれいめな大人路線のアイテムを打ち出すベイクルーズにおいて“ニッチな人種”。「社内よりも、SNSで服の趣味が合う人とつながって盛り上がっていた。コアなファッションを好む小さな“界隈”の人たちでも、自分が本当に着たい服が見つけられるようなブランドがあったらいいなと思っていた」。2017年、社内の新規事業案件制度「スタートアップキャンプ」で「シャルル シャトン」を提案し採用された。
「シャルル シャトン」は20代の女性をターゲットに、50年後の女子たちにも響くような普遍的なアイテムを作るブランドにしたいという思いを込め、“girl,forever!”を掲げる。そして、もう一つの「裏コンセプト」が”みんなで作っていく”だ。中村が直接SNSでコンタクトを取るなどして“仲間”を集めつつ情報収集。あくまで消費者視点に立った製品開発を軸にするといい、サイズは34、36と小さめ。「男性ウケを一切考えていない服を作っている」と言う。
1万円前後という価格帯も「ファストファッションより多少高くてもいいから、おしゃれなものを」というSNS上で地道に拾った声を反映したものだ。「インフルエンサーを通じてマスに訴えるより、フォロワーの少ない”フツー“の女の子に知ってもらいたい。そこから毛細血管のようにファンを増やしていくイメージ。ブランドのファンを集めた“オフ会”のような場も設けられたらいい」。
「シャルル シャトン」の採用理由について古峯正佳・上席取締役副社長CUOは、「SNSを通じて消費者の意見を製品開発につなげるネット+リアルの手法が、今の時代にピッタリだったことが一番の理由」と言う。ベイクルーズは若年層にリーチするためメンズでは「パルプ417 エディフィス」やコンセプトストア「アンフォロー ジャーナル スタンダード(UNFOLLOW JOURNAL STANDARD)」を打ち出してきた。「シャルル シャトン」でウィメンズ業態を立ち上げ、若い女性にもアピールする。また同社はトラッドな世界観に重きを置いた提案をしてきたが、「自分が好きかどうか」を最も重視して服を選ぶ若者の傾向を踏まえ、「そういう意味でも、バックボーンがない『シャルル シャトン』は面白い」と期待する。
売り上げは3年を目処に3億円を見込む。まずはECでの展開のみだが、今後の成長次第では、5年ほどで実店舗を出すことも検討しているという。「店舗に関しても、販売員を置かないスマートストアのような、従来のブランドとは異なった形態での展開もありうる」と語った。