LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)傘下のラゲージメーカー「リモワ(RIMOWA)」は、スイス出身の男子プロテニス選手ロジャー・フェデラー(Roger Federer)を起用し、グローバル広告キャンペーンを展開する。フェデラーとの契約期間は2年だ。「リモワ」は広告以外のプロモーションにもフェデラーを用いる予定だが、その契約金額などの詳細は明らかにしなかった。
このキャンペーンには豪華な顔ぶれが並ぶ。“史上最高のプレーヤー”との呼び声高いフェデラーをはじめ、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」のデザイナーのヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)、人気モデルのアジョア・アボアー(Adwoa Aboah)、東京発のジュエリーブランド「アンブッシュ(AMBUSH)」のデザイナーのYOON、ノブ・マツヒサの名で知られる松久信幸シェフだ。テーマは“立ち止まったまま偉業を成す者はいない(No One Builds a Legacy by Standing Still,)”。キャンペーンに起用された面々が、旅によって達成感や学びを得る姿を描く。
また今回のキャンペーンでは、雑誌広告は打たないという。これはLVMH傘下のブランドでは初の試みだ。キャンペーンのローンチの告知に新聞広告は利用するが、それ以外は主にウェブ上で行い、静止画や動画の広告をSNSやユーチューブ、「Hulu」といった媒体や、メディア媒体の公式ウェブサイトなどで展開する。また屋外広告への掲載や映画館での上映の他、ニューヨークとロサンゼルスではナイトイベントを開催する。
ヘクター・ミューラス(Hector Muelas)=チーフ・ブランド・オフィサー(CBO)は「われわれは先進的なブランドでありたい。そのためにさまざまなメディアの利用を検討している。当社のアレクサンドル・アルノー(Alexandre Arnault)共同最高経営責任者(CEO)はデジタルの訴求力を信じている。ブランドストーリーを語るにはデジタルが効果的だ」とコメントした。
「リモワ」が今回のキャンペーンを行う背景には、ブランド創業120周年に当たることに加えて、LVMHの傘下に入ったこともあるが、何よりも旅行に付加価値を求める消費者ニーズに応えることが目的だ。「旅行者数の増加とともに、われわれも考えが変わってきた。その結果、スーツケースも変化している。以前は機能性重視だったが、今やスーツケースは人々のアイデンティティーのひとつだ。旅行者はスーツケースで何かを表現し、語りたがっている」とミューラスCBOはいう。
6月のインタビューでアルノーCEOは「リモワ」は3年計画で利益率を上げ、売上高を10億ユーロ(約1280億円)に伸ばすことが目標だと語った。また、今後は卸しよりも、直営店やECでの売り上げを順調に伸ばし、堅実な増益を見込む。10月には米国でECサイトの立ち上げも予定する。