大手繊維商社の豊島の2018年6月期は、売上高が前期比12.7%増の2097億円、営業利益が同14.4%減の51億円、経常利益が同13.7%減の62億円、当期純利益が同11.1%減の40億円だった。商品別売り上げ構成比は、繊維原料が28%、原糸が8%、織物が8%、繊維製品が55%、非繊維が1%。
昨年に引き続き、日本最大シェアの綿花部門が大幅に増収となったのは、ASEANにおける3国間貿易拡大により米国産綿を中心にした取扱数量が増加したことに加え、綿花相場高騰による単価の上昇が寄与した。また、自社開発素材の打ち出しによる差別化、異業種への販売促進なども奏功した。一方、減益の理由は、アパレル製品部門において増収だったものの、品質不良や納期トラブルで生産コストの上昇分を売価に転嫁できなかったため。
豊島半七・社長は「スポーツブランドやEC専業ブランドの新規開拓ができた一方で、われわれの看板部隊のカジュアルが苦戦した。デザイナーや生産管理などを増員したが、利益に結び付かなかった。より市場の要望に応えられるように軌道修正していく。また、綿花部門においても価格が92セントをピークに現在83セントまで落ちたことから、今期は減収が確定しており、楽観はできない」とコメントした。
新たな投資については、4月にベトナムでユニホームやウィメンズアウターの生産工場を買収してトヨシマ・ロン・アン・ガーメント(TOYOSHIMA LONG AN GARMENT)を設立した。7月にはバングラデシュ・ダッカに事務所を開設したが、これは中国の人件費高騰や労働力不足により、豊富な労働力と価格優位性の高いバングラデシュへの発注が増加しているため。また今年10月には、三陽商会の生産工場の一つで、ウィメンズのパンツやスカートを得意とする旧サンヨーエクセル(新潟県新潟市)の株式を取得する予定。