「キコ コスタディノフ(KIKO KOSTADINOV)」といえば、セント・マーチンズ美術大学在学中や卒業直後から、「ステューシー(STUSSY)」「アシックス(ASICS)」「マッキントッシュ(MACKINTOSH)」といったブランドからのコラボレーションのラブコールが絶えないロンドン・メンズの期待の新星だ。そのキコが、初めてウィメンズを単独で発表したことは今季のロンドン・ファッション・ウイークの注目トピックスの1つ。キコのセント・マーチンズ時代の同級生で、恋人でもあると噂のディアナ・ファニング(Deanna Fanning)とその双子の姉妹のローラ・ファニング(Laura Fanning)がウィメンズをディレクションしている。
元々、どこかフューチャリスティックな感覚が漂うブランドだが、ウィメンズではそれがぐっと強調されている。ナイロンやジャージーといったスポーティーな素材を体の曲線に沿うように切り替えて描いた、ジオメトリックな模様がポイント。聞けば、着想源はディストピア小説やSF映画の「ブレードランナー」に出てくるアンドロイドのレイチェルだそう。パッドで膨らませたニットドレスのショルダーラインは、確かにレイチェルのそれだ。
そんな風に書くとなんだか堅苦しくなってしまうが、きれいな色合わせも手伝って、純粋に「かわいい」「このブランドのことをもっと知りたい」と女性に思わせる空気感がある。それこそが、キコが自分自身ではなく、女性の気持ちを感覚的に理解できるディアナとローラに、ウィメンズのディレクションを託した狙いなのかもしれない。