「アニヤ・ハインドマーチ(ANYA HINDMARCH)」はロンドン・ファッション・ウイーク期間中に、消費者参加型のイベントを実施した。会場となったトラファルガー広場そばの古いホールに足を踏み入れると、空間いっぱいに置かれているのは真っ白な巨大クッション。参加者はスタッフから手渡された白衣を身に着けて、そびえる山のようなクッションによじ登る。ふわふわと沈み込むため、足を取られてなかなか登れない。
“チャビー クラウド(おデブな雲、といった意味)”と名付けられたこのクッションは、同ブランドが今秋冬推している、もこもことした手触りのバッグやチャームのシリーズ“チャビー”からイメージを発展させたもの。登頂した後に寝転んで天井を見上げれば、そこには荘厳な絵画が広がる。由緒正しいホールのため、なんと、バロック美術を代表する画家、ルーベンスの作品なのだという。そんな空間で寝転んでいるという特別感が楽しい。
そうこうしているとアニヤ本人による挨拶が始まり、続くのは専門家による瞑想のレクチャー。合唱隊の美しい歌声をBGMに、みなで雲のクッションに包まれながら瞑想してリラックスする。参加する回によって、本の読み聞かせであったり、クロストークであったりと内容は異なるらしい。クッションを楽しんだ後は、ホール内のカフェで雲の形のお菓子を食べるもよし、ポップアップストアで“チャビー”の限定商品を買うもよし。
同ブランドは前シーズンから、ショーやプレゼンテーションに代えて、同様の消費者参加型イベントを行っている。消費者は公式サイトでチケットを購入して参加する仕組み。チケットは10ポンド(約1430円)前後だ。わいわいと楽しそうに写真を撮る参加者たちが印象的で、インスタグラムでもしっかり拡散されている。どうやらブランド側の狙いは的中したようだ。